2013年05月27日
トリーター:杉村

あなたはクモなの?カニなの?


みなさん、こんにちは深海トリーターの杉村です。
今回は、“えのすい”の不思議生物No. 1だと私が自負している展示生物を紹介しましょう!!

タイトルにもありますが、一見するとクモ?のように見えますが、実はカニの仲間の「サナダミズヒキガニ」です。

「サナダミズヒキガニ」の顔は、ウルトラ○ブンに出てくるペガッサ星○のように眼柄(目を支える部分)が長く、横に長く伸びていて、体は蕎麦殻のような三角形で、その体からクモの様に長い脚が伸び、ご丁寧にその脚には紅白模様を施した意外と派手なカニの仲間なのです。
一番後ろの脚(第 4歩脚)には、羽毛のような短い毛が生えていて常に上に挙げています。
水槽内では普段、ヤギというサンゴの仲間の骨格に乗ってじっとしていて、擬態でもしているのでしょうか。
時折水底まで降りて歩くこともありますが、その姿も何とも奇妙です。
とはいっても、それほど多く動くことがないので来館した多くのみなさんが見逃しているかもしれません。

そんなサナダミズヒキガニですが、やっぱり餌の時間の動きだけは特別です。
上から餌を落としてあげると、クモような足をバッタバッタと動かして普段では観られないほど必死になって餌を捕まえようと動きます。
今にも長い脚が絡まりそうです。
何とか餌を捕まえると小さなハサミで餌をつかんで、口に運んでムシャムシャと食べ始めます。
そのようすを観察していると何とも和む瞬間です。

このサナダヒズヒキガニは、水深 300mの底引網漁で混獲されて、“えのすい”にやって来ました。
採集される数は非常に少なく、採集されても死んでいたり、脚が何本か無くなっていることが多く、今回のように脚もそろっていて元気なことは非常に稀です。
そのおかげで、彼らの餌を探すようすや海底での生活の一端を見ることができています。
ですがその詳しい生態については、ほとんど分かっていません。
長期飼育をすることでまだまだの謎に包れた生態を解き明かしていきたいと思います。

ぜひぜひ、この“えのすい”不思議生物No. 1(仮)の「サナダミズヒキガニ」を一目ご覧あれ!!

サナダミズヒキガニサナダミズヒキガニ

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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