2016年10月29日
トリーター:唐亀

カツオノエボシを飼育してみる

以前、カツオノエボシ飼育記録一月達成をお伝えいたしましたが、結局 39日間の飼育期間となりました。飼育している間のようすをお伝えいたしましょう。何かの参考になれば幸いです。

9/ 6の午前中、強い南風にて打ち上げられた気泡体の長さが 12㎝ほどのカツオノエボシを、5リッターのビーカーにガラス管で適量エアレーションをおこなう容器で飼育開始。
気泡体の乾燥防止のために、日中数回スポイトで水をかけてやり、ラップでできるだけ封をする。
給餌は朝に生シラスを 3~ 5尾与える。少量の未消化部分があり、海水もやや白濁しているため夕方全換水をおこなう。
2日後生殖巣をごっそり落とす。他の部位は良好で、非常によく動く。触手もエアーの流れに合わせて伸縮を繰り返す。気泡体もぐねぐねと動き、時おり左右に倒れて全体を湿らすような動きも見られる。帆の部分も立てたり縮めたりし、帆高 5㎝ほどくらいまでになることも。
3日目に 1㎝ほどのハゼを生きたまま入れると、次の日には居なくなっている。摂餌したと考えられるが、シラスは触手に付けても受け取らないので、栄養体に直接つけていたのだが、生きている魚は触手で捕えるようだ。アンドンクラゲも、シラスを触手に付けて少し引っ張ってやると良く取り込むので、カツオノエボシも獲物の動きで反応して引き込むと思われる。
1週間位に再生した生殖体がまた落ちる。これ以降生殖体は再生せず。

32日位に気泡体の側面がやや白濁する。2日後白濁部位が黄緑色になり、柔軟性が失われているようで、そこが引き攣れるように気泡体が曲がってくる。
35日目の換水の際、別容器に移動した際、黄緑色の所からガスが抜ける。この時いつものように気泡体が動き、動くたびに泡が出る感じ。水中部位のようすは特に変化なく、盛んに伸縮している。シリコンチューブで輪を造り、キスゴムで固定、気泡体が完全に萎んでも吊り下げられるようにしてみるも、1cm位のガスだまりでかろうじて浮く。
後 3日間は気泡体が無い状態で、それまでと変わらずシラスを受け取り、消化する。
39日目にはシラスを受け取らず、伸縮もほとんどしないものの、反応はある。
40日目朝の時点で触手などの先端が崩れ、海水が白濁し、非常に生臭くなっているため、死亡と判断する。

刺されると大変なことになるカツオノエボシですが、飼育しているうちに愛着がわいてくるものですね。もちろんなでたりはしませんが。秘かに某ミュージカル映画に出てくるキャラクターから「オードリー」と呼んでいました。あ、食べさせたのはハゼだけです。


[2016/ 10/ 06 カツオノエボシの飼育記録一月達成]

クラゲサイエンス

RSS