2017年09月25日
トリーター:伊藤

隠れた珍ガニ見つけました

ヒメヤマトオサガニヒメヤマトオサガニ

先日、三浦半島へ生物観察に行ってきました。
「なぎさの体験学習館」の“隊長”こと坂場さんと一緒です。

到着したのは漁港から岩礁、干潟、ヨシ原といったさまざまな環境が狭い範囲にまとまった、なかなか素晴らしい景観の場所で、到着早々、心が洗われました。

さっそく砂泥の表面に目をやると、ジメジメと水が残っているあたりに直径 2~ 3cmくらいの穴がポツポツと空いており、目の長い茶色いカニがたたずんでいます。
ヤマトオサガニです。展示用に少し採集していくことにしました。

彼らは用心深く、巣穴に近づくと、スッと穴の奥に隠れてしまうので、採集にはコツがいります。
私の場合、まず、身を低くして穴に飛びつける距離まで近づきます。
その時点でカニには感づかれており、9割がた穴に逃げ込まれるのですが、中には逃げが甘く、穴の入り口に足の先が見えている(奥まで逃げていない)ものがいます。
サッと飛びついて、カニが潜んでいるであろう位置の少し奥側へ手を差し入れて塞ぎ、泥ごと優しくキャッチします。

さて、2人で 20個体前後採集できたところで、念のためにカニの形を詳しく見ていきます。
というのも、ヤマトオサガニには、よく似た別種が紛れていることがあるのです。
その名もヒメヤマトオサガニ。
前から 3番目(ハサミを入れると 4番目)の足の前の縁に、細かい毛が生えていることで見分けられるのです。
泥まみれのカニを水で洗い流しながら丹念にチェックしていきますと、いました!

これ、結構すごいことなんです。
というのも、現時点でのヒメヤマトオサガニの正式な分布域(文献記録)は静岡県以西だからです。
神奈川県では、昨年に同じ場所で採集したのに続き 2回目。
1回目の個体は研究用として、標本にしたのですが、今回の個体はまず、生きた状態でみなさまに見ていただくことにしました。
なぎさの体験学習館 2Fの干潟水槽とタッチ水槽の隣でお見せしています。


お立ち寄りの際はぜひ、のぞいてみてください。
パッと見は、小ぶりなヤマトオサガニだなぁ、という感じですけどね。

なぎさの体験学習館

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