2018年06月11日
トリーター:山本

初めての「えのすいクラゲの日」

“えのすい”では、毎月 9日(「ク」ラゲの 9ということで)を「えのすいクラゲの日」として、クラゲ採集のイベントをおこなっています。
2011年の 1月から始まり、もうすぐ記念すべき 99回・ 100回を迎えます。

実は、この「クラゲの日」は私にとって特別なイベントなのです。
私が学生の頃、初めてクラゲ採集をしたのがこのイベントでした。
身近な海でこんなに簡単にクラゲを採集することができるんだ、と感動した覚えがあります。
それからというもの、クラゲ採集にハマり、どっぷりクラゲの世界に浸かり、気が付けばイベントを開催する側になっておりました・・・!
そのため「クラゲの日」は、大げさにいえば私の人生を変えたイベントでもあるんです!(笑)
そんな私の記念すべき初めてのクラゲの日では、参加していただいたみなさまのおかげでなんと 13種類のクラゲを採集することができました!
そこで今回は、採集した 13種類のクラゲたちを思いっきり主観的にご紹介していきます!
ちょっと長くなってしまいますが、みなさまお付き合いください!(笑)

【花クラゲ目】
これより下は「花クラゲ目」というグループのクラゲたちです。
このグループは「かわいい」クラゲが多いイメージがあります。
また、江の島で採集できる種類が一番多いのもこのグループです。

オオタマウミヒドラ

江の島では一年中観察され、クラゲの日でもほぼ毎月観察することができます。
2~ 3mmほどの大きさですが、ぴょこぴょことよく泳ぐため、割と見つけやすいクラゲです。私が初めて見つけた思い出のクラゲで、あの時の感動は今でも忘れません・・・ 。
特徴は、口にある赤い斑点と触手を縮めながら泳ぐ泳ぎ方!とってもかわいいですよ!

シミコクラゲ
江の島では冬から春先にかけて出現するクラゲですが、まさか 6月に採集できるとは・・・!
今回の採集で一番の驚きです。
私たちが知らないだけで、海の中では意外なクラゲがまだまだ出現しているのかもしれません。
改めて、「海」を知ることは本当に難しいんだと言うことを教えてくれました。
クラゲの中に仔クラゲを作り、爆発的に個体数を増やします。
飼育難易度が低く、小さい容器でも飼うことができます。
小さな仔クラゲは 1㎜も無いほどのサイズでかわいいんです!
ぜひ みなさんも飼育してみてください!

エボシクラゲ科の一種
実は、まだ種同定が出来ていません・・・
傘のてっぺんが付き出しており、触手が 8本あることからエボシクラゲ科の一種としておりますが、口の形などが良く見えず、自信が持てない状態です・・・。
引き続き観察していきます。
この種のように、私たちトリーターでもわからないクラゲがさらっと出現する江の島は、やはり最高のフィールドです!

ミサキコモチエダクダクラゲ
シミコクラゲと同じく、クラゲの中に仔クラゲを作ります。
とはいっても、実は中に仔クラゲがいる状態はあまり見ることがありません。
今回のクラゲの日では、珍しく仔クラゲがいる状態のものを採集することができました。
花クラゲ目の中では割と長生きをする種で、飼育していると愛着がわきます!

タマクラゲ
オオタマウミヒドラと何が違うんだと思う方もいるかもしれませんね(笑)
この違いが分かるようになれば、あなたも立派なクラゲ好きです!
サイズは 1~ 2㎜ほどで、4本の触手が上に向いており、バンザイしているような姿がかわいいです!

ヤマトサルシアクラゲ
すみません、写真が用意できませんでした・・・。
気になった方は図鑑で調べてみてください!
よくクラゲサイエンスで展示している「サルシアクラゲ」の仲間です。
江の島では度々記録がありますが、少し見分けるのが難しいので、もしかしたら見逃してしまっているかもしれません・・・。
また採れることを祈りましょう!


【軟クラゲ目】
これより下は「軟クラゲ目」というグループのクラゲたちです。
このグループは「綺麗」なクラゲが多いイメージがあります。

ギヤマンクラゲ
「ギヤマン」は、ポルトガル語で「ダイヤモンド」を意味します。
傘が透明で透き通っていて、本当にきれいなクラゲです!
実は、野生の成熟したギヤマンクラゲは「綺麗」というよりは「力強い(?)」んです。
傘径(傘を上から見た時の大きさ)が 7cm位になると迫力がありますよ!
夏の江の島では、迫力のある成熟したギヤマンクラゲがよく見られますので、ぜひ探してみてください!

エイレネクラゲ
ギヤマンクラゲと形は似ていますが、比べると二回りほど小さなクラゲです。
江の島では度々大量発生します。
他の小さなクラゲを食べてしまうちょっとだけ厄介なクラゲですが、ギヤマンクラゲよりも拍動が速く、パッパッパと泳ぐ姿は見ていて飽きません!

コノハクラゲ
またまたギヤマンクラゲに似ていますね。
成熟しても傘径が 3cmほどのサイズで、触手の数が少ないことや、口が傘から突出しないことから見分けることが出来ます。
個人的に、傘の大きさと透き通り、触手の数のバランスが良く、軟クラゲ目の中でトップクラスの美しさを持つクラゲです!

カイヤドリヒドラクラゲ
これだけ上からの写真ですみません・・・。
軟クラゲ目の中で「かわいい」といったらこのクラゲでしょう!
クラゲである期間がとっても短く、採れたらラッキーなクラゲです。
ポリプは二枚貝の中で暮らしています。
触手も胃袋も退化した、有性生殖の為だけに存在するクラゲです。
なんて潔い・・・!
1㎜ほどで、生殖巣が白く十字模様に見えてかわいいです!


【淡水クラゲ目】
これより下は「淡水クラゲ目」というグループです。
たまに公園の池などにパッと出現して世間を騒がせるマミズクラゲ等が属するグループです。
今回の採集では一種類が採れました。

コモチカギノテクラゲ
海藻などにくっついて生活するクラゲです。
「コモチ」と付いている名前の通り、クラゲの中に仔クラゲを作り、大量に発生することがあります。
どんどん増えるため、飼育していて面白いクラゲです!
江の島では夏にたくさん見ることが出来ますよ!


【硬クラゲ目】
これより下は「硬クラゲ目」というグループです。基本的に外洋で生活しており、ポリプの時期を持ちません。
軟クラゲ目よりも透き通った体を持ち、見つけるのが少し難しいです。

カラカサクラゲ
江の島では、夏から秋にかけてよく見られますが、今年の 4月の採集でも採れましたので、意外と一年中いるのかもしれません。
このクラゲもよく他のクラゲを食べてしまいますので、持ち帰るときは別の容器に入れて運びます。
そんな困ったちゃんですが、餌のアルテミアをガンガン食べ、口いっぱいにほおばっている姿は意外とかわいいです・・・!


【管クラゲ目】
これより下は「管クラゲ目」というグループです。
有名なカツオノエボシはこのグループに属します。

ヒトツクラゲ
管クラゲは、何といっても「不思議」さが魅力の生き物です。
この五角錐の体、知っていなければクラゲとも思わないですよね(笑)
体の構造、生活史、どれも異質で本当に不思議な生き物です!
熱く語りたいところですが、それはまたの機会に・・・!


以上、13種類のクラゲたちを紹介させていただきました!
みんな違ってみんな良い!気になるクラゲはいましたでしょうか?
江の島は、一時間の採集でこんなにもたくさんのクラゲに出会える最高のフィールドなんです。
これから夏になり、また違ったクラゲが出現するはず・・・ 楽しみです!

さあ みなさん!
私たちと一緒に「クラゲの日」でたくさんのクラゲたちに会いに行きませんか?
記念すベき99回・100回ではどんなクラゲが採れるのでしょうか・・・!
みなさまのご参加をお待ちしております!(※日によっては全く採れない時もありますのでご了承ください・・・!)

クラゲサイエンス

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