2020年01月29日
トリーター:岩崎

相模湾旬の魚図鑑 3rd season その1

ヒラメヒラメ

2020年最初に紹介するのはヒラメ( Paralichthys olivaceus )です。
ヒラメは、日本各地沿岸の水深 10~ 200mの砂地に生息しています。
水底に隠れやすい平べったい体形に、鋭い歯を持つ大きな口が特徴で、100㎝くらいにまで成長します。

内臓があるお腹を下向きにして、左側に頭があるのがヒラメ、右側に頭があるのがカレイ。
ヒラメとカレイは生息環境が似ているので、同じような体形をしていますが、体の向きでおよそ見分けることができます。
また、水底のゴカイの仲間や甲殻類を食べるカレイは、下向きでおちょぼ口のとぼけた顔であるのに対して、魚食性のヒラメは、大きい口に鋭い歯がギラリと並んだ強面な顔をしています。

タイやヒラメが舞い踊る。
昔話にも登場するくらいなじみのある魚ですが、高級感がありすぎて、なかなか口にする機会が少ないかもしれません。
特に冬が旬のヒラメは、“寒ビラメ”と呼ばれて、この時期高値で取引されています。
バランス良くうま味が詰まった上品な白身は、刺身や煮つけ、ムニエルなどがおすすめです。
縁側と呼ばれるヒレを動かす筋肉は、コラーゲンたっぷりのコリコリとした食感で、すしネタとしても人気です。

養殖技術が進歩して、種苗生産された稚魚の放流も行われている相模湾では、少しずつ資源が回復傾向にあるようです。
定置網や刺し網で漁獲される他、冬場は生餌を使った船釣りや、江ノ島近くの海岸では、ルアー釣りの対象魚としても人気です。

冬の味覚“寒ビラメ”。
なんとか入手して、たっぷり味わいたいですね。

なんとなく砂地にじっとして、通りがかる魚を待ち伏せするタイプのイメージが強いヒラメですが、驚くほど積極的に水面近くの小魚に襲い掛かかります。
また、砂地近くの岩礁でダイビングをしていると、岩の上で待ち構えて獲物を狙うヒラメの姿をよく見かけます。

貪欲なハンターの一面を持つヒラメ。
“えのすい”では、相模湾大水槽で展示しています。
忍者のように隠れているので、見つけることがかなり困難な魚の一つですが、水底をじっくりと探してみてください。

相模湾ゾーン

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