2020年03月23日
トリーター:伊藤

幻の金魚展示

想像をふくらませて描いたキンランシ(展示の個体と色が違います)想像をふくらませて描いたキンランシ(展示の個体と色が違います)

みなさまこんにちは。
当館が休館してもう3週間です。
3月上旬からスタートした特別展示は、ほんの数日しかお見せしていないことになります。
一つはテーマ水槽、もう一つは川魚のジャンプ水槽の季節展示「桜満開のジャンプ水槽」です。
後者は、私を含む相模湾ゾーン担当者が受け持つ展示です。
一応、4月12日までなので、お見せできることを願いたいです。

本展示はここ数年恒例となっているのですが、毎年新しい要素を少しずつひねり出し、加えています。
今回は、桜黄金という錦鯉と、桜の金魚を期間限定で展示しています。

さて、桜の金魚についてちょっと語らせていただきます。
大きく 2つのカテゴリーに分かれ、一つは色。
透明な鱗を含み(全身でなくてもOK)、紅白(金魚の世界では更紗と言います)の模様のものを「桜」と呼びます。
もう一つは尾の形。左右に広がった尾で、真ん中だけがちょっと切れ込む形を「桜尾」と呼びます。

トリーターの中にも何人かコアな金魚ファンがいますが、私はひねくれファン(下手の横好きでもあるので間違いがあったらすみません)です。
金魚とか鯉の品評の世界では「あれは、いいものだ!」とされる形や色の基準があるのですが、私はそれから外れたような、不人気の金魚に注目してしまいます。
そうした魚は「ハネモノ」としてお店に並ぶ前に選別されてしまうことが多いので、育ちあがった姿が逆にレアです。
インターネット上にまともな画像も落ちてなかったりします。
飼育して、その成長や挙動をみてみたいではありませんか?

さて桜色。
これに評価がついたのはホントについ最近で、昭和の頃まではキャリコ柄(赤と白と黒、そして皮下の黒がそう見える青)の金魚の中で、黒色が欠けてしまった低評価の金魚でした。
でも、最近は評価されるようになり、各品種でキャリコ柄から生まれる桜個体を何とか受け継がそうとする動きになっています。
ちなみに私はキャリコも好きです。青が多かったり、体の大部分が白いような不気味な(誉め言葉です念のため)個体が好みです。

展示したのはほとんど「色が桜」の金魚ですが、1個体だけ「尾が桜」もいます。 しかし、注目いただきたいのはその体形、ひょろりと奇妙な変な個体・・・ これ、私がチョイスした「キンランシ」の体形を持つ桜尾金魚です。
キンランシは厳密には品種ではないかもですが、古い図鑑を見るとイラストなどがよく載っていまして、でも品種名以外の説明が一切なかったりする、キングオブスルーな金魚です。
和金の背びれ無し、もしくは眼の飛び出さない頂天眼という感じの、細長さが際立つ異色の存在。
私は、和金やミックス金魚(安く売られるハネモノが多い)を見かけると、それっぽい個体をつい探してしまうくらい好きです。
みなさまにお見せできるといいのですが・・・ 。


キンギョ

何度も繰り返しになり恐縮ですが、この事態が1日でも早く好転することを願っています。

相模湾ゾーン

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