2021年02月13日
トリーター:山本

春を告げる

カミクラゲカミクラゲ

歌ではなく、クラゲの話です!
「春を告げる」クラゲとして知られているカミクラゲが、今年も “えのすい” にやってきました。
もうご覧になられましたでしょうか。
本種はヒドロ虫類の中でもかなり大きく、肉眼でしっかりと見ることができます。
触手をぶわっと広げると、髪の毛のように見えるから「髪」クラゲ。
大きくなると、手のひらほどのサイズになり迫力があります。
もしかしたら、最近海で見つけた方もいるかもしれませんね。
このクラゲを見ると、春の始まりを感じます。ぼーっとしてたらそのうち桜が咲いて、どんどん暑くなってくるんだろうなー。

さてこのカミクラゲですが、毎年のように全国の海や水族館で見られる日本では特別珍しくないクラゲなのですが、謎多きクラゲでもあるのです。
まず、「ポリプ」の姿が知られていません。
実は、ポリプの姿が分かっていないクラゲは他にもたくさんいるのですが、こんなにも身近なクラゲのポリプがわからないのは不思議です。
また2018年に、カミクラゲは「きゅうり」の匂いがするという論文が出て話題になりました。
その話を聞くまではそんなこと思ったことなかったのですが、実際に嗅いでみると確かに「きゅうり」・・・ 。
いやほんと、思ったより がっつり「きゅうり」です。
このきゅうりの匂いとなる成分は特定されており、なんと「キュウリウオ科」に属する「鮎(アユ)」のものと同じだそうです。
そしてその物質は、昆虫に対する忌避活性や、病原性微生物に対する抗菌活性などが報告されており、もしかしたらカミクラゲの生体防御に関わっているかもしれないとのこと。
もし本当にそうだったら、とっても面白いですね!

ポリプが手に入らないということは、この時期にしか見ることができないということ。
“えのすい” に「春を告げる」カミクラゲは、クラゲサイエンスで展示中です。ぜひご覧ください。

クラゲサイエンス

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