2021年06月13日
トリーター:今井

~上見で魅せる金魚たち~展示中!

紫陽花と金魚の特別展示(6月4日~7月4日)を、ウェルカムラウンジでおこなっています。
紫陽花も見ていただきたいので、今回は上見の展示となっていますが、もともと金魚は水槽やガラス鉢が普及されるずっと前から、多くの品種が上からの鑑賞を考えての改良がなされてきました。


品評会で使用する白い琺瑯(ほうろう)の洗面器は、魚体を上見だけでなく四方八方から、細部まで見やすい容器ですが、1か月間、金魚がリラックスできるように黒い容器にしてあります。


上見(水面上から鑑賞)では、
・魚体の左右対称性、遊泳バランスが観察しやすい。
・金魚特有の優雅な開き尾、またそれを左右に振る動きが楽しみやすい。
・背鰭を欠いた品種では、背の鱗並びや模様を楽しみやすい。
・金魚が起こす水面の波、流れが風流に楽しめる。

横見(容器側面のガラス等を通した鑑賞)では、
・はっきりと魚体が見え、体調が観察しやすい。
・金魚と目線を合わせやすい。
・表面積のある体側の模様や体高、背鰭や腹鰭の張りが楽しめる。
などの利点が思いつきましたが、奥の深い世界ですので、ほんの一例と思ってください。

展示中の一品種であるジキン(協力:愛知県指定天然記念物四尾の地金保存会)をお借りした御宅では、全て屋外の四角い浅い容器で飼われており、アオコと呼ばれる植物プランクトンが濃く発生した水中から、ジキンを掬い上げて見せてくれました。


私は仕事から帰ってから金魚を鑑賞したいので、このような飼育方法は向いていませんが、上見は水槽でもできますので、好きな方向から見て楽しめれば良いと思っています。

他にも新品種の「逸姫らんちゅう」(協力:上田観魚園)も展示しています。
展示スペースには自然光が差し込むので、反射によっては朱の地肌から砂金が浮かんでくるように見えます。
名前につられて黒目がパッチリとしたお姫さまのようだなと思っていました。
ところが年を経る毎に肉瘤が発達して魅力が増してくるらしく、ネーミングは姫路初の地金魚で逸品という意味だそうでした。
そこで展示中の個体よりも(ちょっと残念ですが...)はっきりと特徴の出た個体の写真を送ってもらいました。


鑑賞上の改良が進んだ品種ほど、欠点ばかりに目が行ってしまう傾向がありますが、自分が気に入ったところを愛でながら飼育してほしいと思います。
ペットショップで「赤くて、元気なのを3匹ください!」などと聞くと、ホッとする今日この頃です。

展示は全部で5品種ですが、一度に見ようと思ってもなかなか見られないと思いますよ。紫陽花と一緒に眺めてくださいね。

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