2021年10月05日
トリーター:笠川

夢の続き

「リゾストマ・パルモ」と「コティロリーザ・ツベルクラータ」の混泳展示、初お披露目です。
(以下、「パルモ」「コティロ」)
まさに今年だからできるようになった展示です。
「パルモ」が育ってくれて、夢が大きく広がりました。
夢の共演です。

クラゲは基本的には単種での飼育展示になります。
なぜかというと、その毒性や食性にあります。
毒の強さの相性はまだまだ手探りですが、食性ならなんとなく合わせられる種がわかるので、とりあえず「根口クラゲ」から始めました。
「根口クラゲ」は他のクラゲを食べることはありません。例えば、「アカクラゲ」と「ミズクラゲ」を同じ水槽で飼育したら、「ミズクラゲ」は「アカクラゲ」に捕まってしまいます。
あとは分布域や温度などの条件です。
今回は地中海という同じ分布域ということで試みました。温度は少し工夫しましたが、うまくいってよかったです。
クラゲ展示をいつか海で見るようないろいろな種類が混在する状態で展示したいという思いがありました。
種の多様性や他種との関係性を伝えていきたい。
簡単なことではないですが、これからも頑張ります。壁にぶつかると毎度、海ってすごいなと思わされます。

この展示にはたくさんの想いがこもっていますが、まずはいま、“えのすい”でしかみることができない「パルモ」と「コティロ」の混泳をじっくり楽しんでください。
そして、ぜひ、地中海の海の中をイメージしながらご覧ください。
ヨーロッパ周辺のクラゲの特徴なのか、この独特の色合いが美しいです。まるで陶器のようです。
「パルモ」の傘の乳白色に縁取りの濃い青紫色、「コティロ」のまるで帽子とドレスをまとったようなすがたにあの口腕付属器のかわいらしい紫色。
そして、その 2種の青紫色のリンクがまたなんともすてきです。
「リンク」という言葉には、「繋がり」という意味もあります。
繋がりましょう。
そして、いまは行くことが難しい遠い異国へ想いを巡らせましょう。
この混泳展示は初めての試みなのでいつまで展示できるかはわかりませんが、全力で展示維持に努めます。
みなさんの心の栄養、癒しの一部になれればと思います。

余談ですが、このように初展示の予定が決まるとソワソワが止まりません。
無事お披露目の日を迎えられるか毎日不安です。
昨日、まだ一口も食べていない昼食をカーペットの上にひっくり返してしまいました。ドロドロの洋服とカーペットを見て、あまりのショックに立ち尽くしてしまいました。でも、これが「パルモ」と「コティロ」でなくて本当によかったと自分を励ましながら、掃除しました。
本当に無事展示が開始できてよかったです。

クラゲファンタジーホール

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