2021年12月07日
トリーター:唐亀

蛍 加利福尼亜

現在テーマ水槽は「~キラキラ輝く光のクリスマス~」ということで、ウミホタルやヒカリキンメダイなどの発光する生き物を展示しています。
発光する生き物は、ヒカリキンメダイのように仲間とのコミュニケーションに使用したり、深海魚のように敵から認識されにくくするために使ったり、ウミホタルのように敵から逃げるために使ったりとさまざまな理由で発光します。それらを解説しつつ、クリスマスのイルミネーションにかけての展示で、12月25日まで開催しております。

みなさんの多くが、発光する生き物としてピンとくるのは、おそらく「ホタル」だと思います。日本には40種類ほどのホタルが生息していますが、有名なのはゲンジボタルとヘイケボタルでしょう。成虫が飛行しながら点灯する様を見て、風情を楽しむのは昔からの初夏の夜のイベントでもあります。

ホタルが発光するのはウミホタル同様、ルシフェリンとルシフェラーゼの作用によるものです。多くの種で幼虫から成虫、オスメス問わず発光しますが、発光するのは、繁殖や有毒であることを外敵に知らせるためなどと考えられています(ホタルは有毒なものが多く、ホタルに擬態している昆虫がいるほどです)。特に繁殖のために光る場合、オスとメスで点滅のサイクルが違っています。

ところで 風のうわさでは北アメリカには怖いホタルがいるらしいんです。光のサインを使い分け、別種のホタルになりすまし、仲間と思って近づいてきた他種のオスボタルを捕まえて食べてしまうのです。多くのホタルは成虫になると口が退化して、水分を摂る程度なのですが、中には成虫になっても摂餌する種類があるのですが、このホタルは獲物を捕らえるために発光を利用しているのです。
光るという時点ですごいのに、それを特殊詐欺のような悪質な使い方をする昆虫がいるということに驚いてしまいます。本当に生態系の奥深さは我々の想像をはるかに超えるものなのですね。

本当に余談なのですが、20年ほど前にこのマイナーなホタルをモチーフにした歌がありました。有名な洋楽の「入ったら出れないホテル」と「光に誘われたら戻れないホタル」をかけてインスパイアしたもので、他の楽曲と動物のバージョンがあって個人的に好きなシリーズでした。

ヒカリキンメダイの発光ヒカリキンメダイの発光

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