2021年12月29日
トリーター:笠川

性格いろいろ

ヤドカリたちにも個性があるようで、殻からなかなか出てこないものもいれば、捕まえても気にせず出てくるものもいます。
私もどちらかというとビビりで、慎重派なので、気持ちはわかりますが神経質な個体は餌やりが大変です。

現在、クラゲサイエンスで展示しているイガグリホンヤドカリは、浅虫水族館より計 3個体でやってきました。展示に出ている個体が一番大きくて、バックヤードで待機している個体は2 個体ともその半分くらいの小さな個体です。

一緒にしていると小さい個体にちょっかいを出すので分けています。
オラオラ系に見えたこの大きな個体、実はとても神経質です。
他の小さな個体は、ピンセットでエサをあげると、普通に受け取り、そのままゆっくり食べます。落ち着いています。
しかし、大きな個体はまず、ピンセットおよび餌自体にビビり、オロオロ。
ゆっくり間合いを見ながら近づけると、何を確かめているのか、餌を取らずエアー食べ?味見なのか受け取らないで、ハサミでモシャモシャ。
そのエアー食べが終わると、ちゃんとハサミで受け取り、食べ始めます。
食べているところを見られたくないのか、すぐ後ろ向き。
のぞき込んで確認すると、あれだけ渋りながら受け取ったのに、ものすごい勢いでハサミも使わず、直食い。
性格はいろいろです。最近少し慣れたのか、それほどビビらなくなりました。
こちらのやり方もあるのかもしれません。
このイガグリホンヤドカリは、巻貝状に成長するイガグリガイウミヒドラ(ヒドロ虫)を背負うため、引っ越しする必要がありません。
オーダーメイドの成長する貝殻というわけです。
他のヤドカリからしたら、きっとうらやましいことだと思います。ヤドカリにとって、宿探しは必要不可欠なもので、引っ越しは一瞬で済ませなければならない大仕事です。

以前、テーマ水槽で展示したケスジヤドカリは、引っ越した先の貝殻にカニが潜んでいて大パニックになっていました。
裸んぼで右往左往。
通常、貝の口をハサミで測りサイズを見て、中をチェックして、掃除をしてから引っ越すのですが、このヤドカリは適当にやって、しっかりチェックをしなかったのでしょう。

この一件以来、これでもかというくらい中をチェックし、ぐるんぐるんと何度も貝殻を回して、なにもいないことを確信してから、ものすごく慎重に引っ越しをしていました。ヤドカリは見ていて飽きません。面白い生き物です。
2021年もあとわずか。2022年もどうぞよろしくお願いします。

クラゲサイエンス

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