2022年06月06日
トリーター:遠山

ゴマフアザラシの繁殖に向けての取り組み

今回の話はゴマフアザラシの繁殖の取り組みについて、トリーター日誌を書きますね。
私が入社した2015年、ゴマフアザラシはオスの「オガ」とメスの「ワカ」「天洋1」の計 3頭飼育していました。
2017年に男鹿水族館GAOから「ココ」が搬入され計 4頭の飼育になり、もちろん彼らの健康管理をおこなう上で必要なトレーニングもいろいろと実施していましたが、本格的に繁殖を意識してアザラシ飼育の改革を進めてきました。

男鹿水族館から搬入した「ココ」男鹿水族館から搬入した「ココ」

「天洋1」は高齢のため、繁殖計画には入れず、それ以外の個体は年齢的にも繁殖が十分可能だったため、交尾するだろうと簡単に思っていました。
ですが私の気持ちは全く叶わず、交尾行動も全く見ることができませんでした。
オスとメスがいれば簡単に交尾するだろうという甘い考えがダメでしたね。

左から「オガ」「ココ」「ワカ」左から「オガ」「ココ」「ワカ」

何がダメなんだろうと考え、まずは飼育している水温を見直しました。これは屋内飼育でゴマフアザラシの繁殖に成功している他の水族館から情報を教えていただき、水温の調整を実施。
すると翌年に発情行動が見られますが、オスとメスの時期に少しのすれ違いというか、発情するタイミングが合わない日々。
「オガ」は発情しているが全くメスに興味なしといった感じで頭を悩ませていた時期でもありました。
このままだと、当館だけでの繁殖には限界があるのかなという思いもあり、下田海中水族館と協力し「ココ」を一時的に預かってもらい繁殖を狙いました。
残念ながら「ココ」は下田で繁殖行動はありませんでしたが、「ココ」が当館に戻ってきてから、「オガ」のようすに変化がみられ、メスを追いかける行動が目立ちました。
そしてようやく2021年に私が望んでいた行動を見ることができました。

2021年「オガ」と「ワカ」の交尾2021年「オガ」と「ワカ」の交尾

4月26日に「オガ」は「ワカ」とそして5月6日には「ココ」との交尾行動を確認することができました。
2017年から取り組みを開始し、交尾に至るまでに4年もの時間がかかりました。いや~本当に嬉しかったですね。ようやく私が思っていたアザラシの交尾を目の前で見ることができたのですから。
物凄く嬉しかったのを今でも覚えています。その後、「ワカ」も「ココ」も超音波検査を定期的に実施していましたが、残念ながら子どもを確認することはできませんでした。

さて去年の交尾では残念ながら妊娠には繋がりませんでしたが、今年のアザラシの繁殖期に合わせていろいろと準備をしていました。
その準備の成果もあってか、今年は早い段階で「ココ」との交尾が見られました。

2022年の「オガ」と「ココ」の交尾2022年の「オガ」と「ココ」の交尾

去年もここまではうまくいきましたが妊娠には至っていません。新江ノ島水族館として、まだゴマフアザラシが誕生していないので、なんとしてでも赤ちゃんを誕生させるというのが私の次の目標です。
みなさんに、かわいい白い毛に包まれた赤ちゃんゴマフアザラシを見てもらうために、これからも頑張り続けます。

ペンギン・アザラシ

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