2022年11月02日
トリーター:島森

準備は元気なうちから

今回は私があまりトリーター日誌に載せたことのない、オタリアの「マミ」とのお話。

「マミ」は今年で 25歳になります。オタリア界ではなかなかのお年を重ねてきました。
ヒトはお年を重ねるとそれなりに体に不具合が出てきますよね。オタリアたちも同じです。
白内障が進行して目が見えなくなってしまったり、筋力が弱ってきてたくさん歩くと疲れてしまったり。

今すぐなる訳ではなくても、そうなった時に「マミ」の不安を少しでも和らげられるよう準備を始めています。例えば、長い距離を歩けなくなっても外へ日光浴に行けるよう、台車に乗って移動ができるように練習したり。私たちの声を使って合図を出したり。
どちらもすぐにはできないので、元気なうちから準備を始めます。

ここ最近、台車に乗ってイルカショースタジアムのガラスの前まで行っていることがあるので、見たことがある方もいるのではないでしょうか(^^)

私たちの声を使って合図を出す、今できることはいくつかあります。少し紹介すると、「プー」と言うとプールへ入り、「ベー」と言うと舌を出します。
「マミ」と呼ぶとトリーターのところまで来てくれます。これは目が見えなくなってしまった時、私たちの声を使ってコミュニケーションをとるための準備。

先日、声を使った合図を出した時のこと。
少し離れた場所から「マミ」と呼んでみました。すると「マミ」はちょっと迷ったのか、舌をほんの少しチョロッと出してからいそいそと私の元へと来てくれたんです。
次の日には「プー」と言うと、一瞬舌を出してからプールへ入っていきました(笑)
この瞬間、きっと「マミ」はいろんなことを考えたんだろうなと思うと、なんだか「マミ」と会話をしているような気持ちになりました。“あっ、違った”という心の声が聞こえてきそうです。

こんな感じで元気なうちから、何かあった時の準備をしています。たまに合図を間違えて舌が出てきてしまう「マミ」。一日でも長く元気に過ごして欲しいなと願う島森でした。

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