2022年11月01日
トリーター:北嶋

祝!ついに10世代目の繁殖!

これは快挙といってもいいでしょう。“えのすい”生まれのシラス(カタクチイワシ)、10世代目が育ち始めました!
2013年 2月にシラス展示への本格的なチャレンジを始めた当初は、綱渡りでの飼育繁殖でした。シラスは、体にウロコがない透明な魚のこどもです。とってもデリケートで、網はもちろん、水ごとすくって移動するのも悪い刺激になってしまうため、一切移動をせずに、水も極力動かないように飼育する必要があります。

また、常に餌を必要とします。つまり、餌をたくさん与える必要があるけれど、移動も水替えもできない環境で育てないといけないので、めちゃくちゃ水が汚れるのです。
ある程度育つと、多少の刺激に対応できるようになるので、慎重に少しずつ、少しずつ水替えをして、掃除をはじめます。
これはめちゃくちゃ緊張する掃除です。
ちょっとでも失敗するとそれで溜っていた毒素が水槽に充満してしまうことや、病気のもとを拡散してしまうこともあるためです。しかし、この危険な作業も、世代を重ねるにつれて私たちも対処方法を学び、うまく育て上げられる個体数が増えてきました。

世代を重ねすぎると、だんだん遺伝子の多様性が無くなって状態が悪くなる懸念もありますが、カタクチイワシの場合はそのような問題に強いのか、今回の卵は状態も良いですし、親魚の大きさも全長13cmほどと標準サイズでした。群れの魚ですので、ある程度の多様性が保たれていたりするのでしょうか。

また、シラスを育てるためには、シラスのごはんを育てることも重要です。
シラスは小さな動物プランクトンを食べるのですが、これも飼育繁殖しないといけません。“えのすい”では、体が小さい時期はシオミズツボワムシという動物プランクトンをごはんにしています。
これらは毎日大量消費されるため、バックヤードで繁殖をさせています。
シオミズツボワムシの繁殖も、始めた当初は失敗続きでしたが、いまでは、少し調子を崩すことがあっても、あの手この手を駆使して復活させることができています。

シラスたちだけでなく、担当トリーターも世代を重ねてレベルアップしております。
水族館内でこうやって世代を重ねながら、生き物の素晴らしい姿をみなさまに紹介しつづけられるように、今後もがんばり続けます。

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