「ニンギョウヒドラ」は、エダクダクラゲのポリプに付けられた名前です。
最初は何のポリプかわかりませんでしたが、のちに、そこから遊離したクラゲがエダクダクラゲであることが観察され、両者が同一のものとわかりました。
エダクダクラゲのポリプは、環形動物のエラコの棲管にヒドロ根を張り巡らせて生息しますが、摂餌をおこなう栄養ポリプは棲管の口の部分だけにみられます。
栄養ポリプは 2本の触手を持ち、それを伸ばしているようすが、人が手を上にあげて動かしているように見えることから、「ニンギョウヒドラ」と名付けられました。
ポリプはエラコの虫体がいなくなったり、棲管からはがしたりすると、急激に衰退してしまうことが観察されていますが、その共生関係の詳細は、まだよくわかっていません。
形状も生態も大変興味深い本種について、当館でも、展示・飼育をおこないながら、研究に貢献できればと思っています。
エラコは東北以北の磯でよく見られ、昔から釣り餌として使われていますが、最近は地元の釣具店でもエラコを扱うところが減ってきているようです。
今回展示しているニンギョウヒドラは、本種他さまざまなヒドロ虫類の研究をおこなっている、宮城教育大学 出口竜作教授と出口研究室のみなさまにご協力いただき、入手したものです。