1週間ほど前から風邪をひきずり薬が手放せない伊藤です。最近は日を追うごとに寒くなってゆきますよね。私たち人間は哺乳類ですから体温を保てる上に、服を着たり布団にくるまったりして暖をとることができますが、野外で暮らす動物たちはそうは行きません。
野生動物たちが冬を越す技として「冬眠」がありますね。みなさんは冬眠と聞いて何の動物を思い浮かべますか?
クマ?ヤマネ?クビキリギス!?・・・
ちなみに私の場合、カエルが真っ先に浮かびます。
去る今年の 2月のこと、近所の田んぼで面白い場面に遭遇したことがありました。田んぼの中には当然ながら水がなく、コンクリートの水路にも湿った土がわずかにあるだけという状態で、普通に考えればたいした動物との出会いは期待できない状況でしたが、水路の中に落ちていたブロックを何気なく持ち上げたときに、なんとカエルが丸まって冬眠していたのでした。
実は意外にも、カエル類の冬眠の実態は未だ分からないことだらけだそうです。
一般的には土の中で丸まって冬眠、と絵本などで紹介されますが、そう単純なものでもないようで、種類によって、冬眠を誘発する要因(湿度?気温?日長?水辺の水位?)や冬眠場所の選ぶ基準(湿り気?暗さ?掘り易さ?高さ?)などが異なるようです。
あやふやな言い方をしていますが、カエルの冬眠は観察例そのものが少ないため、現時点では世界中の研究者たちが懸命に観察例を報告している段階にあると思います。私の観察例もその一助になればと思い、学会の雑誌へ記録させていただくことにしました。研究発表のページに題名が載っていますが、内容まで載せるのが難しいため、こちらで簡単に書かせていただきました。
トウキョウダルマガエルの冬眠場所については、水田が干された後、隣接したあぜや畑といった「やや湿った土中」でおこなうという説や、今では少なくなった湿田の水溜り周辺や素堀水路の底泥中といった「水分豊富な土中や水中」でおこなう説があると聞いたことがあります。本件は特殊な例でしたが、水路内での越冬例ということで、やや後者を支持する例となりそうです。
このように、カエルたちについてはまだまだ分からないことや不思議なことがたくさんあります。分からないからこそ、なおさら魅力を感じるのかもしれません。
みなさんも、外で遊んでいる時にカエルの冬眠しているところを偶然にも見かけたら、日記に残したり写真に撮るなどして、記録として残すことをおススメします。