2010年12月22日
トリーター:寺沢

海と川と山と

坂東太郎は暴れん坊。
群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉、東京を流浪する住所不定、無職の坂東太郎。
弟分は、筑紫二郎に四国三郎。
ちなみに、四国三郎は、海田和吉の幼馴染だとか。

むかし、むかしその昔、箱根の坂、足柄山以東を、坂の東、「坂東」と呼び、関東を意味した。
一方、関西は「西国」と呼んだ。

残念ながら、この坂東太郎は人間ではない。
関東の太郎、関東の長男格の川、関東で一番大きな川、時として暴れ川。
坂東太郎とは、利根川の異名。いにしえの人々のその川への畏敬と愛着、遊び心が生みだした産物。
例えば、“えのすい”横を流れる、境川を江ノ島太郎、引地川を鵠沼次郎、と呼んでいるようなもの。

今では養殖ウナギの商品名としても広く知られている、坂東太郎。

“えのすい”でも、坂東太郎こと、ニホンウナギは展示している。大海で神出鬼没の彼らの故郷が、分かったのはつい最近のこと。

湘南をオレンジ色に染める残照と砂まじりの海風が吹く 12月、鵠沼次郎には漁り火が灯り、坂東太郎は川を目指し、海田和吉は山に向かう。

ウナギウナギ
※本作品には一部、フィクションがあります。

相模湾ゾーン

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