みなさんこんにちは、鈴木です。
前回の私の日誌(スズキの名前の由来は鈴木さん?)で魚の名前の由来について書きましたが、今回はその漢字編です。
題名に深い意味はありません。
紹介魚種は前回同様スズキを含む有名魚にしたいと思います。
ただ、名前の由来とは違いちょっと小難しい話しになりますのでご了承ください・・。
あまり目を凝らさず、さらっと流して読むくらいがちょうどいいと思います。
また、名前同様、漢字の由来も不確定なものが多く、あくまで諸説ある中の一つであることを頭に置いて覧ください。
では、始めます!
まずは「鰯(イワシ)」
名前の由来と同じで、弱い魚というところから来ています。
他の魚によく食べられてしまうことや、触るとすぐウロコが剥がれ傷ついて死んでしまうといった所が弱いといわれる理由です。
次に「鯵(アジ)」
漢数字の参( 3)と書きますが、鯵の場合の 3とは 3月のことなんです。
これは、アジが美味しい旬の時期が関係しています。
アジの旬は夏で、特に初夏の 5月頃から美味しい季節になります。
あれ?
でも漢字では 3月に!?おかしいですね?
実は 3月といっても旧暦の 3月で、現在の新暦ではだいたい 5月頃を表すんです。
続いては「鯖(サバ)」
そのままんま見たとおりです。
背中の色が青いところからきております。
ちなみに・・
今回は鯖と書いてしまいましたが、本当は魚へんに「青」ではなく、「(青の月が円になったもの)」が正しいんです。
もともとサバの漢字は「魚+」が正字なのですが、さまざまな理由により「魚+青」の鯖が普及してしまったようです。
現在「魚+青」の鯖は異体や俗字として辞書等には表記されているそうです。
もし興味のある方はインターネットなどで調べてみてください。 もっと詳しく書いてあります。
ちょっと疲れてきましたか?
続いて「鯛(タイ)」です。
どうやら 2説あるようです。
日本全国の周囲どの海でも周年とれる魚だから魚へんに周で鯛という説と、周の字が古代の中国では扁平(平たいこと)を意味する語でもあったという説があります。
う~ん、どちらも捨てがたい・・。
残り 3種!どんどん行きます。
「河豚(フグ)」
まずフグなのになんで河?と思った方が多いと思います。
実は、漢字の発祥である中国では、揚子江や黄河などに産卵のために海から遡上するフグが古くから人々に親しまれていたからといわれています。
ちなみに・・
そのフグとは東シナ海や南シナ海または、この海域に注ぐ川(長江など)に生息する、「メフグ」というフグだそうです。
豚という字が使われているのは、膨らんだ姿が豚に似ていることや、釣り上げた時などに豚のように「ブーブー」と鳴くからというのが理由です。
残り2種です!さあ、いよいよここで題名の答えです。
「鱸(スズキ)」
当たり前かもしれませんがスズキの漢字は鈴木ではないんですね。
由来も鈴木さんではありません。
さて、この鱸の由来、正直なところはっきりとは分からないようです・・。
鱸の盧(ろ)とは、「黒い色」を表す漢字で、体表の色が黒いことから魚へんに盧と書いて鱸となったといわれています。
とはいってもスズキ同様に黒い体の魚はたくさんいます。
これもはっきりとしませんが、スズキの身は大変きれいな白身であり、その為に体表の黒さが強調されてしまったようです。
なんとも説明しずらい由来ですね・・。
気を取り直して、いよいよラストです!
「鮫(サメ)」
今回一番お伝えしたかったのは由来が分かりにくいスズキではなく、こちらの鮫なんです。
一般的に魚では、サケのようにメスが産んだ卵にオスが精子をかけるといった体外受精で子孫を残します。
しかし、サメは魚の中でも珍しく、肛門あたりにある 2本の棒状の交接器(クラスパーといいます)を使い、交尾によって子孫を残します。
そんな交尾をする魚ということで、魚へんに交わると書いて鮫となるんです。
サメの特殊な生態を大変よく表している漢字ですね。
分かりやすく、実物を見ながら生態と共に説明できるので水族館では重宝しております。
さあ、いかがでしたか?
名前の由来同様、漢字もその魚の特徴をよく表しているものが多く、調べてみると思わず、なるほど!と納得させられるものばかりです。
中には名前の由来と同じ理由で作られた漢字もありますが、ほとんどが違った視点で決められたものばかりで大変面白いです。
ぜひ、名前の由来と比べながらご覧になってみてください。
全てではありませんが、“えのすい”の魚名パネルには漢字表記もあります。
お越しいただいた際は、その魚の特徴を考えながら漢字にも注目して見てください。
ぱっと見ただけでは分からないその魚の習性や生態が見えてくるかもしれませんよ。
関連日誌
[スズキの名前の由来は鈴木さん?]