“旬の水槽”を担当しているS君は、秋の旬を「イイダコ」に決めたようです。
小さなタコですが、秋から冬にメスは飯粒のような卵を抱き、沿岸の浅場に集まります。
食用としても食べ頃の大きさになるので、釣り物としても人気があります。
しかし、展示では初秋辺りから始めないと、繁殖を終えた親ダコは、やがて寿命を迎えてしまうのです。
展示計画書を作成するにも、期限までにイイダコが入手できなければ、ただの皮算用になってしまいます。
―展示生物のほとんどは計画的に入手して、予備水槽でトリートメントをしてから、展示水槽に収容します。並行して広報活動や写真撮影、解説作成もおこないます。―
そこで、7月から2、3週間おきに休みを利用して、同じチームである私たちとボート釣りに出掛けています。
初めの頃、私はシロギスを狙っていても、仕掛けのオモリにイイダコが吸い付いてきて、水面まで上がると、
「チューッ」
といって落ちることが何回もあったので、
「次回から真面目に狙えばいいやっ」
と高を括って、シロギスやホウボウを釣って楽しんでいました。
ところが、それ以来ほとんど釣れなくなってしまったのです。
葉山では炎天下、イイダコ仕掛けに極上エビを付けたところ、かなり大きな獲物(ウツボ?エイ?)が連発で掛かり、粘って格闘のあげく、二人とも竿や釣り針をへし折られて、結局ボウズ(全く獲物が釣れないこと)でした。
「そうだよな~、美味しい餌に魚が寄りすぎちゃっても、逆にイイダコは掛からんよな~」
と反省。
―最初にラッキョウを使った方は偉大なり!(イイダコ釣りでは、半分に切ったラッキョウを見せ餌にします。)―
それ以降も、休日は強風を避けるように、東京湾と相模湾を行ったり来たりしながら釣行するも、現在のところストックは 0匹です。
S君は期限までにイイダコが(展示に至るほど)集まらなかったら、
「イイダコみたいに頭を坊主にする!」
と嘯(うそぶ)いてますが・・。
大丈夫!私たちもお伴するつもりです!
チーム 3人が丸坊主になると宣言をしてしまえば、きっと真価を発揮してくれることでしょう(笑)。
私は・・、何とかなると思っていますが・・。
みなさんも(イイダコの方を)楽しみにしていてくださいね!