2012年05月12日
トリーター:石川

ジャンボの遺志


前回のトリーター日誌で、みなさまに「ジャンボ」と「ハク」の子育て奮闘ぶりをお伝えし、ぜひ見に来ていただきたいとお話ししていたのですが、大変残念なことに、 5月 1日の朝 7時 30分に突然「ジャンボ」が息を引き取りました。

いつものように朝出勤して、まず雛と「ハク」と「ジャンボ」の状態を観察するのですが、5月 1日は 7時 25分に観察しました。
「ハク」が巣の中で、雛がその後ろに 2羽、「ジャンボ」は巣箱の隣に立っていました。
記録用の写真と動画を撮って朝の準備のため飼育室へ戻り、5分が経過した頃、イルカアシカを担当するトリーターから一報が入りました。
巣箱の横で倒れているペンギンがいます!
ついさっきまで各個体の状態を見ていた私は、てっきり「ジャンボ」の横で腹這いになって寝ている「セサミ」なのでは?と思いました。
また、先ほど確認した親鳥や雛たち以外の個体で調子の悪そうな個体なんていたかな?
そう思ってペンギンプールへ入ると、横たわっていたのは「ジャンボ」でした。
揺さぶったり、気道確保したり、心臓マッサージをしたり、考えられる対処はしたのですが、そのまま息を吹き返すことはありませんでした。
ほんの 5分前に普通に行動していたペンギンが絶命しました。

過去に鳥類を飼育していて、容体が急変して突然死んでしまったという経験はあります。
ただ、何らかのサインはあったと記憶しています。
また突然死にしても直前に激しく動いていた、プールで泳いでいた、激しい闘争をしていたなどであれば理解することもできるのですが、まったくもって平穏だったのに突然死んでしまったのです。
すぐにはその事実を受け入れることはできませんでした。
しかし原因の究明はしなければなりません。
あわせて残った「ハク」と雛 2羽の今後も考えなければなりません。
死亡後解剖をおこないました。外的要因は認められませんでした。
死因の特定ができるかどうかわかりませんが、今は病理の結果を待っています。
・・・ペンギンではてんかんなどの疾病もあるといわれますが、「ジャンボ」はそんな状況になったことは一度もありません。
子育てに負担がかからないように、過去のデータから雛へも親へも影響が出ないように注意もしていましたので、悔やまれるばかりです。
そして「ハク」と雛たちは、大事を取って他個体からの影響がない裏の産室用スペース(昨年末のリフォームで作った場所)へ移動しました。
「ハク」へのストレスを軽減して、なおかつ「ジャンボ」の分は我々が補っていかなければなりません。
今はなんとか雛たちを無事に巣立ちさせることが、「ジャンボ」への唯一の弔いだと思っています。
親子に会おうと楽しみにされていたみなさま、大変申し訳ございませんでした。
なんとか元気な雛と「ハク」をまたみなさまに見ていただけるよう努力しております。
今しばらくお待ちください。

そして「ジャンボ」へいただいた、たくさんのお言葉、お花、本当にありがとうございました。

(左)ジャンボ、(右)ハク(左)ジャンボ、(右)ハク

ペンギン・アザラシ

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