2012年09月12日
トリーター:石川

生息数・・・多いと思いますか?少ないと思いますか?


先日、佐渡のトキ保護センターに併設されているトキの森公園を見学してきました。

平成 11年に中国から寄贈された 2羽を基に、現在は 58羽がいるそうです。
20mほど離れたケージに生きているトキを見ることができ、アオッ、アオッ(私にはそう聞こえた!)という鳴き声も聞くことができました。
島内には放鳥されたトキもいるのですが、今回は出会うことはできませんでした。

現在野生のトキは中国に 500羽ほどが生息しているといわれています。
さてこの生息数のイメージですが、意外と多いと思いますか、限りなく少ないと思いますか?

トキと同じように日本に生息するコウノトリもいなくなってしまいました。
コウノトリは稀に野生個体が大陸から迷って渡ってくることもありますが、アジアで 3000羽ほどといわれているそうです。

またアホウドリは辛うじて国内での絶滅には至りませんでしたが、絶滅宣言されたほど観察されることがなく、1951年に再発見された 10羽から現在は 2000羽を超えてきているとのことです。

さてではフンボルトペンギンは?というと、2012年の動物園水族館協会の報告によると野生個体は 4万~ 5万羽と推測され、ペルーでは引き続き減少傾向だがチリでは増加している可能性があるそうです。
ちなみに今回の報告の中で同属の一番野生個体数が多かったのは、マゼランペンギンの 130万ペアということで、単純に倍でみると 260万羽でしょうか。
ペンギン類で一番多かったのはマカロニペンギンの 1800万羽。
ペンギンたちはカラスやカモメのように生息域が広く、飛んで移動できる種類ではありません。
繁殖地などが極端な環境変化を受けると、壊滅的な状況にいたってしまいます。これを考えると多いと思うよりは少ないと思えてしまいます。
やはりフンボルトペンギンは、レッドリストの絶滅の危険性が増大している種とある状況なのでしょう。

ちなみにちょっと古いデータなようですが、東京都のハシブトガラスは 3万 5千羽前後とのことです。
多いのでしょうか、そうでもないのでしょうか?

一度極端に減ってしまった状況から増やしていくのは、どんな種類でも困難が伴います。
もちろん遺伝的な問題もあります。
1羽1羽が持っている多様性もその種が存続していく上で重要です。
トキを自然復帰させるまでの取り組みにも並々ならぬご苦労を重ねているようです。

“えのすい”のフンボルトペンギンが野生へ行くことはすぐにはありませんが、いつかその子孫が大海原に出ることがあっても、 1羽1羽の多様性が発揮できるように育てていきたいなあと思います。

※まもなく今年生まれた子どもたちの名前が決まります!
集計しているスタッフへどんな名前があるの?・・・と聞くと教えられないほどすごい数なんだそうです。
応募してくださった皆様、ありがとうございます。
9月23日が命名式です。楽しみにしていてくださいね。

名前が付く前にもう一度家系図で“えのすいフンボルトペンギン”の関係を確認してみてください。

えのすいのフンボルトペンギン家系図えのすいのフンボルトペンギン家系図

ペンギン・アザラシ

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