～イルカ・クジラの視力は？～

こんにちは鈴木です。
今回のテーマはイルカ・クジラの視力についてです。

さて、鯨類の眼は他の脊椎動物と共通の構造をしていますが、どのくらい眼がいいのでしょうか？
ちなみに、イルカ・クジラの視力を測るためには、眼を解剖し網膜中の視細胞の密度などから求める方法と、行動実験によって測定する方法の 2つがあります。
後者は私たち人間と同じような視力検査をする要領で訓練によって直線の間隔や切れ目などを見せて、識別できなくなった間隔から計算し求めるということです。

では、これらの方法で視力を求めると主な鯨類の視力はこのようになります。

バンドウイルカ　0.08～0.11
カマイルカ　0.09
シロイルカ　0.07～0.09
シャチ　0.18
アマゾンカワイルカ　0.02～0.03
ミンククジラ　0.14
コククジラ　0.09～0.10

いかがでしょうか？
やはり最も速く泳げるシャチは他の種に比べると少し高いですね。
その他は多少の差はありますが、だいたい 0.1くらいです。

あまりよくないでは・・？
と思ったみなさん、確かに私たちの印象で視力の数値だけ見ればそんなに高くないですが、そもそも水中では、空気中のように物は見えませんし、光が乏しい水中では少し潜ればすぐに暗い世界になってしまいます。
そう考えれば、鯨類たちはあまり視力には頼っていないとも考えられますね。
特に濁った河川に生息していることが多いカワイルカ類では、視覚による状況把握はあまり必要では無い為、視力が悪いと考えられているそうです。

しかしみなさん、鯨類たちの眼は視力だけではありませんよ。
暗いところのものを見る能力は非常に優れているんです。これは眼の中に暗い所で機能する視細胞（桿体）が多いことや、わずかな光を最大限に利用できるよう、光を増幅させる反射板のようなもの（タペータムと言います）を眼の中に持っているからです。
（このタペータムは多くの夜行性の動物が持っており、猫など暗闇で動物の目が光る正体もこれです）
さらに、動体視力がとても優れているといわれています。
ショーなどでトレーナーの指先のわずかな動きの違いが分かることからもそれが分かりますよね。
おそらく捕食事には餌となる魚などの一瞬の動きにも対応できるはずです。

そしてもうひとつ、忘れてはいけないのは、イルカやクジラたちの見る力は眼だけではないということです。
ご存知の方も多いと思いますが、鯨類たちは超音波を出して、その反射音から対象物までの距離や大きさ、形、材質などさまざまな物理的な特性を感知することができます（これをエコーロケーションといいます）。
いわば｢音で感じる目｣ですね。この‘目’はかなり優秀でこの音響的な目を持つおかげで障害物を避けながら水中を速いスピードで泳いだりすることができるんです。
おそらくイルカやクジラたちには、遠くのものが目で見えなくてもまるで見えているように感じることができるんでしょうね。
本当に素晴らしい能力ですね！
一度でいいからイルカやクジラたちと同じように水中世界を見てみたいものです（＾_＾）

長くなりましたが以上です！

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