2014年10月06日
トリーター:羽田

超音波

イルカやアシカたちの健康管理をする為に、私たちトリーターは動物や獣医と協力をしながらさまざまな検査をおこなっています。

毎日体温を測定し、一か月に一回採血をします。他にも呼気や尿を採取したり、超音波診断をおこなったりしています。
ですが、最初から動物たちがこういった検査をさせてくれるわけではないのです。

例えば、採血。
イルカの場合、尾ビレにある血管に針を刺して採血をするのですが、トリーターが尾びれを持ち、獣医が針を刺し、動物は採血が終わるまでじっとしているという役割があります。
みなさんも注射が嫌いな人っていますよね?
私もあまり好きではありません。
動物たちも最初は針を刺されるのが嫌いなので、我慢できないと尾びれを持たせてくれなかったり、針を刺したら尾びれを動かして逃げてしまいます。

なので、針を刺しても大丈夫なように動物と練習をします。
採血する部分に少しずつ刺激していくのですが、最初は指で刺激。次は楊枝で刺激。それが大丈夫なら針を刺してみましょうという流れで練習します。
もちろん針を刺せるようになるまで時間がかかる個体もいれば、すぐにできる個体もいるので、得意・不得意があるところが人間と似ていますね。


前振りが長くなりましたが、今回のタイトルは「超音波」でしたよね。
人間が超音波を使用する時といえば、妊婦さんが赤ちゃんの状況を確認する為に使用するイメージが強いと思います。
動物たちももちろん妊娠個体に使用することもありますが、日常の健康管理で使用することも多々あります。
動物たちの身体の中の状態を知る、非常に重要な検査項目の一つなんです。

私が担当しているオタリアの「ヒミコ」も超音波診断ができるように練習をしていきました。
「ヒミコ」の超音波の練習は、動物の身体に当てる「プローブ」という道具を慣らしていくところから始めました。
見たことのない物をいきなり身体に当てると驚いてしまったりしますからね。
プローブを見慣れたら、今度は実際に身体に当てていきます。

最初は機械の電源をOFFにして、超音波が出ていな状態で練習します。
その状態でプローブが当てられる状態になったら本番同様に機械の電源をONにして当ててみました!!!

その結果・・。

プローブを当てた瞬間に驚いて私の前からいなくなってしまいました・・・・。
機械の電源を入れて超音波が出ている状態と出ていない状態は、私たちの身体に当ててもその差が分からないんですが、動物たちはその微妙な差が分かるんでしょうね。

さぁ、どうしよう。

そこで私はある機械で練習することを思いつきました!!
その機械とは
私が使用している「電子ヒゲソリ」いわゆるシェーバーです!!

男性の方なら分かりますよね?
あの先端がややカーブしている形と、実際に振動するところが練習にぴったりだったんです!
もちろん先端にカバーをつけて、毛をそらないようにしていますよ(笑)

このシェーバーを身体に当てても大丈夫なように練習をしてから、実際の機械でリベンジです!!!!

その結果・・・・・・・。


大成功!!!!!!!!!!!!

無事に診断をおこなうことができました☆
まだ長時間機械を当てることは出来ないのですが、少しずつ診断の時間も長くしていけるようこれからも練習あるのみです!
トリーターはこんな感じで、どうやったら動物達が健康管理に協力してくれるか日々考えています。
今回はまさかのシェーバーが大活躍でした(笑)
創意工夫ってどんな仕事でも大切なんです!

やっぱり嫌なことをじっと耐えるトレーニングって、動物たちにとってはあまり面白いものではないですよね。
でも、健康に毎日を過ごしてもらうには、どうしても動物たちに協力してもらっていろんな検査をしなければいけません。
おもしろくないトレーニングだからこそ、動物とトリーターの信頼関係がないとうまくいかないトレーニングなんです。

決して派手ではないですが、これからも健康管理の為にどんな検査でも動物たちが協力してくれるよう、信頼関係を深めていきます!!

イルカショースタジアム

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