新年早々、内輪なネタで失礼します。
当館にいらっしゃった際、水槽に餌を与え歩くトリーターを見かけたことはありませんか? 当館の構造上、どうしてもみなさまのいらっしゃるパブリックスペースからしか給餌がおこなえない水槽があるためです。
そういう時、職員が片手にぶら下げている場違いな道具。小学校とかで絵の具の着いた筆をすすぐための、4区画くらいに分かれた小さな黄色いバケツ。
これがちょうど、液状の餌を何種類も一度に持ち歩くのに最適なのです。魚類チームで「黄バケツ行って」と指示があれば、ブラインシュリンプなど水ごと与える液状の餌を与えてきて、ということなのです。バケツからスポイトで適量の餌を吸い取ってピュッピュと与えます。
この餌の巡回はだいたい 1日 2回。雨の日も風の日も(室内ですが)使われ続け、約 10年。食器として考えた場合、驚くべき頑強さです。紛失することもなく、当館の魚たちに餌を運び続けました。
それがきのう、ついに底が破損してしまいました。発見者は櫻井さんです。「あっ!黄バケツが割れている!」。まさに、使おうとしていた電子ジャーが割れていたのに匹敵する叫びでした。
かくいう私も、入社当時から使ってきて、展示生物のお世話のいろはを学んだ道具ですので、さびしい気持ちです。モノに魂があると思っているわけではありませんが「お疲れさまでした」といいたいです。
これだけだとちょっと内容的にあれなので、新着生物についても少し。
今上陛下のご研究コーナーに大きなパービャウが 2匹お目見えしています。皮膚が弱く、輸送が難しいナマズなのですが、ところどころ傷つきながらも無事に到着しました。
閉館後、真っ暗になった水槽に生きた小魚を入れると、不器用ながらも餌を追っており、傷も少し治ってきた気がします。ちょん切れてしまったヒゲの完治は難しいかもしれませんが、迫力ある姿です。怪魚ファンの方、必見です。