最近、ショー前やショー中に相模湾大水槽の左下にクエがおります。この時間になるとここにやってくるのです。
ショーでは演出で気泡を使用するのですが、コンプレッサーを起動すると水槽左から少々気泡が出てくるのですが、これが目当てなのです。このクエは気泡が体を伝うのがお気に入りなのです。
以前、大水槽の底掃除をしている時に自分の頭上に気配を感じ、ふと見上げるとクエがいました。見上げるとのっそりと泳ぎ去り、またしばらくすると戻ってきます。
閉館後館内の照明が落ちて、水槽内の方が明るいとアクリルガラスは鏡のようになります。見上げると去ってしまうのでアクリルガラスに映ったようすを見てみますと、私の出した泡の中にやや頭を上にして、胸びれをゆっくりとたなびかせてじっとしているクエがいました。しばらく見ていると鰓蓋や口を大きく開けています。まあ何とも気持ちよさそうな感じです。
それ以外にも、泡ではないのですが、潜水して給餌している時に大水槽の右端、通称「サメ穴」にまとまった量のイカやマグロを撒いていると、このクエがやってきて口を大きく開けてじっとします。
最初は口に入って来るのを待っているのかと思いましたが、口の中にマグロなどを入れてもじっとしていて、急に気が付いたかのように口の中のものを吐き出して慌てて去っていくのです。
クエは現在 2匹いるのですが、これをやるのは決まっています。もう片方は見られない行動ではありますが、根本はホンソメワケベラのクリーニング行動への疑似体験と思われます。
クエは野生でもホンソメワケベラのクリーニング行動をよく受けています。もちろん相模湾大水槽でも同様なのですが、だからといって常にホンソメワケベラのクリーニングポイントにいる訳ではありません。
現在 3匹のホンソメワケベラが丸い窓のある所にクリーニングポイントを持っています。ここにいろいろな魚たちがクリーニングをしてもらうために集まってくるのですが、正直、あまり熱心なクリーナーではないようなのです。客が多すぎるのか、あっちふらふら、こっちふらふら。順番待ちの魚たちの方が「クリーニングして!」とアピールしている状態なので、もしかしたら順番待ちにしびれを切らしたクエは泡などで我慢するようになったのかもしれません。