そろそろ三寒四温の四字熟語で形容される時節となってまいりました。花粉にアレルギーのある方は憂鬱な季節の到来でしょう。
海辺ではどんなことが起こっているのでしょうか? 春先のこの時期は、海水温が最も低くなるので、温度的には冬真っ盛りなのですが、日差しはどんどん強くなってまいります。
それに鋭敏に反応するのが、海藻たちでしょう。たとえば、外海に面した波当たりの強い岩礁に自生するヒジキも、この時期岩盤の全面を覆うように成長します。
先日、岩礁水槽に海藻のアラメやカジメを追加展示するため、打ち上げ海藻を拾いに三浦半島の磯場に行った時のことです。大潮の干潮の時間帯に、膝まで浅瀬に入って、海藻を探していると、あちらこちらにすでにワカメが茂り始めているようすを目にしました。その葉状体の長さは 50㎝前後まで育っていました。
相模湾では今の時期、沖合の養殖用ロープに種付けされたワカメが、すくすく伸びている頃なのですが、波打ち際の岩場でもおびただしい数のワカメが葉を展開する様は、海の中がすでに春を迎えつつあることを実感させてくれました。
近年、岩礁水槽の中でもワカメが自生しており、我々が種付けするわけでなく、いつの間にか幼体が姿を見せます。本日もっとも育っているワカメの葉の長さはおよそ1メートルに達していました。
今後まだしばらく、野外の海岸と同様に岩礁水槽内でも自生する海藻の一員として、ワカメがどんどん育ってくるでしょう。