2015年03月15日
トリーター:根本

メンダコ飼育 19日目 

メンダコ(3月16日9時頃)メンダコ(3月16日9時頃)

おとといは当直明けで開館時間頃帰宅し、きのう休暇でしたので 1日半ほどようすを見られませんでした。おそるおそる覗いてみると・・・、大丈夫そうです。定位置で平たくなりジッとしてくれていました。

おとといの給餌は冨永さんにお願いして帰ったのですが、展示のメンダコは順調に餌を食べたようです。展示の方は多少ですが安心感が出てきました。大きなトラブルが無ければ、“えのすい”での飼育最長記録である「 22日」の更新も可能性が出てきました。
問題はバックヤードの個体です。餌に反応を示してくれません。見た目以上にストレスを感じているのかもしれません。実は、少し思い当たることがあります。なぜか水槽の飼育水のpHが異常に高いのです。

pHは小学校の理科でもおなじみの「酸性・アルカリ性」を示すものです。一般的に 0~ 14の数字で表します。pH 7.0が中性、でpH 0.0に向かうと酸性になり、pH 14.0に向かうとアルカリ性になります。
海水は一般的にはpH 8.0前後の若干のアルカリ性を示しますが、水槽で生き物を飼育していると飼育水は徐々に酸性に傾いていきます。実際に深海の一般的な展示水槽ではpH 7.4~ 7.7くらいを示します。これは尿や糞などから出る“アンモニア”がろ過細菌により分解され生成された“硝酸”などが蓄積するためだと考えられています。
硝酸は基本的には水槽に蓄積していくので、時間が経過すると飼育水が徐々に“酸性”になっていくという考え方です。(実際にはこんな単純なものではないかと思います。様々な要素が絡み合っているはず。)取り除くためには植物を入れて吸収してもらうか、水を変えるかをおこないます。

問題のバックヤードのメンダコ水槽のpHは 8.73。

見たことが無い程値が高すぎます。
換水は毎日のようにおこなっているのですが、ダメですね、止まりません。

pHが上がるというのは飼育水槽ではあまり経験がありません。ろ過細菌が何らかの原因で働いていないときにはアンモニアが分解されず残ってしまいpHが上がる可能性があり、pH上昇では一番疑わしい要因となります。
さっそく分光光度計を使い飼育水の「アンモニア」、「亜硝酸」、「硝酸」の値を計測してみました。

結果は、アンモニア 0 mg/L、亜硝酸 0.003 mg/L、硝酸 1.3 mg/L。
特に問題はなさそうです(ちなみに水産業での水質基準はアンモニア 0.03mg/L以下、 亜硝酸 0.06 mg/L以下 硝酸7 mg/L以下となります。←水族館ではこのような値になることはまずありません)。

なんでしょう?謎ですね・・・。水が少し泡立つのも気になります。
いろいろ調べてみます。


水質測定中

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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