2015年03月24日
トリーター:根本

メンダコ飼育 28日目

きょうで飼育を始めて 28日目、飼育期間は 27日間となり、知りえる限りでの飼育最長記録に並びました。 2年前に「 22日間の飼育最長記録達成!」と有頂天になっていたところ、あっさり沼津港深海水族館さんに追い抜かれてしまい悔しい思いをしていましたが、2年越しで何とか並ぶところまで来ることができました。
メンダコ飼育は我々の代が始めて 7年。“えのすい”の先輩方も何度かチャレンジしているという話も聞いていますので、“えのすい”としては苦節何十年ですね。なかなかうまく行かないものです。

さて、7年間で何が変わったかというと、それほど革新的な技術の進化も道具の発展もありません。
工夫した点といえば採集時にできるだけ光に当たらないようにしたり、メンダコだけ別の容器で隔離したり、船上飼育での飼育水の鮮度や水温に気を付けたりと行ったこと、水族館での飼育では水温を 7℃~ 9℃とやや生息場所よりも下げたこと、また照明を見えるギリギリまで落としたことといった内容です。
まだどれがよかったのかなどはわかりません。今回たまたま採集時のメンダコの状態が良かったのかもしれません。今後も検討して行ければと思います。ただ、1年に 1~ 3回ほどしか入手のチャンスがありませんので、採集飼育技術として確立するには数年かかりそうです。

さて、餌ですが、少し新しいことがわかりました。給餌を手伝ってくれているシラス担当の冨永さんが発見したことなのですが、メンダコに餌をやる際に「腕や体の上に乗っけてやるとよく食べる」ということです。
私が書いた何回か前の日誌に「餌を腕に近寄せてくっ付けると良い」と書きましたが、その方法でもちろん成功することもあるのですが、失敗してメンダコが驚いたように泳いで逃げてしまうこともあり、「餌の寄せ加減が難しい」という欠点がありました。
しかし、上に乗っけてやる方法で餌を与えてみると、泳ぎ回ることも無く、腕をスッと体の上に伸ばし餌を掴んで口まで持って行きます。これは楽です。
棒で餌を寄せる給餌法では、暗くて見えない水槽の中でメンダコに棒をぶつけないように餌を動かす作業にとても神経を使いましたが、メンダコの上に落とす方法では何にも気を使う必要がありません。ピンセットで近くまで持って行き離せば良いだけです。

これは憶測の範囲を出ませんが、もしかしたらメンダコは自分の上を歩き回るエビなどを餌にして食べているのかもしれませんね。あの不器用な、泳ぎに触っただけで傷つきそうなプリンのような体、全く動かない生態からすると、普通のタコのような狩りをしそうなイメージが湧きません。完全待ち伏せタイプの生き物なのかもしれませんね。
長く飼育できればさらに多くの情報が得られると思います。次は飼育 1か月間を目標に頑張っていきたいと思います。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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