今年も新江ノ島水族館では、メンダコの飼育チャレンジをしてきました。
これまでの飼育日数は 2日、長くてもせいぜい 5日程度でした。
そのため、メンダコの生態すら掴むことができませんでした。
メンダコチャレンジとして 2012より、船上で採集されてからの運搬、展示、飼育方法に工夫を加え、年を追うごとに飼育日数を伸ばすことができています。
そして今年の「メンダコチャレンジ 2015」では、当館では初となる40日を超えての飼育をおこなうことができました。(昨年までは、2013年の 22日が最長でした)
40日を超えたメンダコは 2個体で、44日と 48日です。
44日間飼育できたメンダコは、4月 10日まで展示公開することができました。
今年は、生きたメンダコを多くの皆さんに見てもらうことができたのではないでしょうか。
(現在は、メンダコの標本と動画の展示をしています。)
48日間飼育したメンダコは、深海Ⅰの裏の水槽で観察研究用に飼育しており、先日の 4月 20日まで飼育できました。
この飼育期間中、とても多くの情報を得ることができました。
そして、何よりもうれしかったことは 2匹のメンダコがそれぞれ、しっかりと餌を食べ、水槽の中でいろいろな行動を見せてくれたことです。
根本トリーターの日誌ですでに何回か、餌を食べるようすなどを紹介されていますが、そのほかにも、面白いメンダコの行動をいくつかカメラに収めることができました。
これまでのメンダコチャレンジで、「メンダコは通常泳ぎ回らない、海底でスライムのようにベタッとじっとしている状態が正常のようだ」と日誌で紹介してきましたが、長時間にわたってメンダコを観察していると、瞬きしたり、回転したり、ふいに泳ぎだしたりと 1日にさまざまな行動を起こしているようでした。
じつは、深海では意外とアクティブな生物なのかもしれません。
今回得た膨大な記録データの解析には、時間はかかりそうですが、少しずつ謎の生き物「メンダコ」の生態を明らかにしていきたいと思います。
ですが、メンダコの飼育については、まだまだ分からないことがたくさんあります。
いったい、どれだけの量の餌を食べるのか?
給餌の間隔は?
なぜ、死んでしまったのか? など、課題は山積です。
また年末から来年にかけて、メンダコに会う時ができましたら「メンダコチャレンジ 2016」をスタートさせたいと思います。
今回、私たちに不思議な生態を見せてくれた「メンダコ」たちに感謝したいと思います。
また、応援してくださったみなさんに感謝いたします。