お盆が終わり、陸上では秋に向かっていくという時期になりました。先日のトリーター日誌では、ツクツクボウシの話題も出ましたね。
この時期の海、たとえば相模湾はどんな様子でしょうか? 先月のこのページで、梅雨の長雨のせいで海岸付近では海水の塩分が低くなることをお話ししました。
[ 2015/ 07/ 23 この時期の海の水 ]
それから 3週間ほどが経過して、湘南地域では晴天の日が続き、塩分は元の海水のそれに戻ってきました。そして今度は、海の中でも真夏へと季節が巡り、海水温が一年の中で最も高い時期となってきました。
8月 14日の情報ですが、神奈川県水産技術センターから配信された「関東・東海海況速報」によれば、三崎 26.2℃、大島 26.5℃、伊東 27.2℃、下田26.8℃、館山 26.9℃といった数字が並んでいます。だいたい相模湾沿岸の夏場の海水温は 27℃前後でしょうか。
先日関東地方でも見られた猛暑時の気温が軒並み35℃超えに比べると、案外涼しいような印象を持たれるかもしれません。しかし海水温は気温のように日格差がなく、一日中―朝も昼も夜も―ほぼ一定の温度を維持しますから、比較的冷たい海水を好む北方系の生物にとっては、ちょっと暑苦しい時期と言えましょう。
因みに隣の東京湾ではこの時期どうかと調べてみたら、東京湾環境情報センターから発信される「東京湾水質連続観測データ」を観ると、浦安沖の定点観測地点で水面近くの海水温は 28℃台~ 29℃台となっており、東京湾の奥では、相模湾よりさらに 1~ 2℃高いことが分かります。
このような海水温の夏場の上昇は、出現する生物の歳時記となって夏を物語ります。クラゲではアンドンクラゲ、タコクラゲがおなじみです。湾岸部で時に大襲来するミズクラゲは盛りを過ぎた頃でしょう。もうしばらくすると、相模湾の岩磯や消波ブロック周りで南方系の魚類(熱帯性海水魚)の子どもたちの姿も見られるようになります。