2015年10月23日
トリーター:戸倉

子ガメの大冒険!

アオウミガメの子ガメ(No.4)プール際に登って寝ています。アオウミガメの子ガメ(No.4)プール際に登って寝ています。

10月 21日(水)の出来事ですが、その日の朝も、いつものようにウミガメの浜辺の掃除をしていたところ、アオウミガメの子ガメ(No.4)がプールサイドから陸上の方に少し登り始めました。
これは、他の子ガメでもおとなのカメでもよく見られることで、
「まあ、少し登って甲羅干しでもするのかな?」
と思って見ていたら、案の定そのまましばらく目を閉じて眠り始めました。
「やっぱりね!」
と思っていたら・・・


“むっ”と顔を上げて、急に砂浜の方を見つめはじめました。
そして、何かを求めるように前進し、とうとう砂浜に登って行ったのです。


実は、前夜にも誰かが登ったらしく、砂浜には移動した痕跡が残っていたので、もしかしたら、それもNo. 4だったのかもしれません。
その足跡をたどるように、休んでは進み、休んでは進み、4肢すべてが“ヒレ”ですから、リクガメのようにはいきませんが、それでも器用に進みます。
休む時には砂の上に顔を下すので・・・


顔を上げると・・
口の周りにきれいに砂が付き、まるで志村けんさんの「へ○なおじさん」のようです。
笑って見ていると・・
「何っ??」
といわんばかりにこちらを見ますが、それでも前進は続きます。

まあ、どうせ昨夜の足跡をたどってすぐに引き返すだろうと思ったら・・
「えっ、そっち行くの??」


なんと!!直進して奥の方に向かって行きました。
まだ、おとなのカメたちも踏み入れたことのない領域です。
アカウミガメのプールを隣に気にしながら、「へ○なおじさん顔」でどんどん進みます。


これはもう、どこまで行くのか?
どのような行動をするのか?
見届けなくてはなりません。

この子ガメにとって、アオウミガメのプールはもう、はるか後方です。
ウミガメの浜辺の砂浜は、ウミガメの上陸痕がすぐ分かるように、常に整地しています。
また、アカウミガメとアオウミガメが混在しないように、生垣と杭で仕切られており、子ガメでも通り抜けることはできません。

そしてとうとう、砂浜の端まで来ました。


周りを見渡し、もうこれ以上前には進めないのか?をしばらく確認しています。
野性のウミガメが産卵のために上陸をした場合、砂浜の奥で植物が生えている近くに穴を掘って産卵をすることが多いといわれています。これは植物が生えている所は「そこまで波が来ない。」つまり砂中の卵が水没しない所ということを本能的に感じているのではないか?といわれています。
ただ、この子ガメはまだ 2歳ですから、目的は産卵ではありません。
本当の理由は、本人に聞いてみなければ分かりませんが、「冒険」「興味本位」といったところにしておきましょう。

さて、もうこれ以上先に進めないと悟ったのか、急にUターンを始めました。


そして、もと来た道を戻ります。
“自分の足跡”と言う認識があるのかどうか?は分かりませんが、確かに足跡をたどれば海(プール)に戻れます。
帰りも休憩を取りながら、「変顔」のまま進みます。


プールの直前で(生垣に沿って進んだので)コース変更しましたが、無事、戻って来ました。



今回の冒険は、所要時間約 30分でした。
往路が 20分、復路が 10分でしたから、明らかに往路はようすを伺いながら慎重に進んでいたと推察されます。
そして復路は“終わったから戻るだけ”だったのでしょう。

現在アオウミガメプールには大小様々の大きさの 10頭が一緒に泳いでいますが、その内子ガメが 5頭です。
それぞれ性格も違いますが、まだ名前が付いていないので、甲羅の椎甲板、肋甲板に印を付けて番号で呼んでいます。

毎週火曜日にプロポーション測定をする際に印が付けられますので、いつ見ても消えずに残っています。
良く見ると印の付いている位置が違うので、ぜひ見分けてみてください。

ウミガメの浜辺

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