ケフサイソガニの仲間先日、干潟採集に行ってきました(寒かったです)。今週は極寒の干潟から連れてきたマニアックな連中をいくつか紹介します。
ケフサイソガニの仲間
寒かったため、ヤマトオサガニやチゴガニといった多くのカニ類は巣穴の奥深くに潜ってお休みしており、ほとんど見られませんでした。
そんな中で見つかるカニはほとんどがコレでした。
大き目の石をひっくり返すと、数十個体が集まっていることもありました。
古い文献ではウミモクズガニ(ウミモクヅガニ)とも記されており、実際モクズガニに近い仲間です。
干潟水槽の他、川魚のジャンプ水槽脇の小水槽でも展示しています。
また、長らく 1種類だと思われていたのですが、実はよく似た 2種類が混ざっていることが分かっています。
お腹を見て、黒い点々模様がなく、雄のハサミのフサフサが大きいものは「タカノケフサイソガニ」と呼ばれる別種です。
ユビナガホンヤドカリ
陸や海でくらすヤドカリは有名ですが、本種は川(正確には河口干潟)で見られるヤドカリです。
低塩分に強いため、ほとんど海、といえるような岩場から、干潟の泥の上まで広く住み家にできます。
相模湾の干潟では、ホソウミニナを宿貝として使っている個体が多いですが、川から流されてきたと思われるカワニナを拾って?使っている面白い事例も確認しています。
おそらく、干潟水槽に最も多く入っている生物です。目を凝らすと濁った水底をトコトコと歩き回っています。
アサリ
最も有名な二枚貝の一つですが、塩分の低い河口干潟に多いことは意外と知られていないかも知れません。
水槽に入れると潜ってほとんど見えなくなってしまう上、長期飼育はトップクラスに難しいという、飼育者泣かせの生物でもあります。
当館の干潟水槽では前担当者の時代から水位変動で潮の干満を再現したり、様々な餌プランクトンを与えたりして、以前より数か月長生きさせられるようになってきました。
泥の表面をよく見ると、水管の穴が 2つ、目玉のようにあるのでよく探してみてください。元気なものは、そこからぴゅーと水を吹き出すことがあります。
テッポウエビ
3個体ほど展示に入れました。現在、展示向かって右前の泥底に巣穴を構えています。しばらく見ていると顔を出します。ブルドーザーのように泥を運び出していることもあります。
干潟水槽にはきれいで目立つキャラクターはほとんどいません(トビハゼくらい?)。
ですが、小さな生物が泥やカキ殻など様々な環境を使い分けて自然さながらに暮らしており、見れば見るほど味わい深い展示となっております。
土曜・日曜は混んでいるので難しいですが、平日には空いている時間帯もあるので、じっくりとご覧いただけたらと思います。