水槽の中では、みるみる成長していく種や増殖していく種がいろいろいます。それは我々飼育員にとってはとても楽しみな変化です。
しかし、中には招かざる生物が繁殖してしまう場合もあります。きょうはそのいくつかをご紹介します。
1. セイタカイソギンチャク
おもにアルテミア幼生を大量にまく水槽で大量発生します。これは水槽内の見栄えが悪くなるばかりでなく、配管内でつまりの原因になったりもするので決して招いていません。
そこで、食べてもらうという手法をとります。セイタカイソギンチャクを餌とする魚やエビなどを収容するのですが、展示コンセプトと異なってしまわないよう、また、同じ魚が色んな水槽に収容されているなどということにならないよう工夫が必要です。
『あれ、なんでこんな魚がこの水槽に入っているのかな?』なんて疑問に思えたら貴方は水族館通です! もしかしたらセイタカイソギンチャク駆除要因として収容されているのかも知れませんよ。
当館ではそのような違和感が出ないよう魚種をしっかりと吟味しています。セイタカイソギンチャクやっつけ隊の実績が素晴らしいのはトゲチョウチョウウオやチョウハンといったチョウチョウウオ。そしてカゴカキダイです。
太平洋ゾーン暖かい海の、チンアナゴの水槽には大量のセイタカイソギンチャクが繁殖しています。さらっといいましたが繁殖してしまっています。
チンアナゴ用の餌の、アルテミア幼生が原因ですが、そこにやっつけ実績のあるトゲチョウチョウウオやチョウハンを収容したかったのですが、なんとすぐ近くの水槽に収容されてしまっています・・・。
さてどうしようと悩んだ挙句、当館初展示となるハシナガチョウチョウウオを収容してみました。セイタカイソギンチャクを食べてくれるかどうかはかけでしたが、素晴らしい働きっぷり! セイタカイソギンチャクを食べてくれています。しかも展示的にもなんの違和感もありません。
ハシナガチョウチョウウオを見て、セイタカイソギンチャク用だなと思う人はいない・・・はず・・・。もしいたらその方は通というか同業者ですね。