2016年07月22日
トリーター:伊藤

月光で命輝かすカニたち

今年のナイトワンダーアクアリウムは「月光」をテーマに幻想的な空間を演出しています。
飼育担当として、これらの空間演出に負けず、かつテーマにマッチした生物を展示すべく密かに奮闘しており、一部展示の運びとなりました。
月光といえば、そうカニです。

アカテガニやアカガニが満月の夜に海へと降りて、一斉にふ化直前の卵を放つことは、TVなどでも良く知られています。
このドラマチックな行動は、これらを含むイワガニ上科の多くの種類で知られており、繁殖生態が明らかになっていない種においても広くおこなわれているものと思われます。
繁殖時の彼らの行動力はすさまじいものがあります。普段はびくびく穴の中に隠れている種も、海を目指してガンガン移動し、荒波をひっ被りながら、懸命に子孫を残すのです。
「月が真円を描く時こそ我々が本領を発揮する時だ!」とでもいわんばかりです。
これから数回に分けて、新登場の淡水~汽水性イワガニ類を紹介していきます。

カクベンケイガニ
緑色の唐草模様と鋭い目つきが魅力です。相模川ではクロベンケイガニに次いで多いイワガニ類だと思うのですが、臆病な性格と素早い動きで、人目につきにくく、マニアックな存在に甘んじています。消波ブロックや石積み護岸といった人工物を巧みに利用しています。川魚のジャンプ水槽脇の小水槽で展示しています。太平洋のコーナーにあったマングローブ水槽以来の再展示となります。



ベンケイガニ
ベンケイガニの中のベンケイガニですが、アカテガニと間違われることが多い不憫なキャラです。目の後ろにある棘の数がアカテガニより1つ多い点で、確実に見分けられます。オカヤドカリ、アメリカザリガニと並び、最もペットとして出回るカニでもあります(アカテガニとして売られていることもままある・・・)。相模湾周辺では意外にも数が少なく、目にする機会があまりありません。野外で「またアカテガニだ」と思ってつかみ、本種だったりすると得した気分?になりますね。カクベンケイのお供に数個体展示しています。



この調子で続々展示し、紹介してまいります。それでは次回。

相模湾ゾーン

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