2016年09月29日
トリーター:伊藤

月光で命輝かすカニたち 6

相模湾ゾーン“干潟”水槽相模湾ゾーン“干潟”水槽

先日、某所にある干潟へカニを見に行ってきました。



ここは、岩礁に囲まれた河口干潟という、ちょっと変わった立地にあり、底質が上流側から砂、軟泥、転石、岩礁と短い距離の間で変化していきます。さらに、水際から 5mも離れれば、ヨシ原か、うっそうとした雑木林となるため、さまざまなカニたちが場所を選んで暮らしています。

泥の上では、当館の干潟水槽でもおなじみ、ヤマトオサガニやチゴガニ、コメツキガニといったスナガニ類や、ケフサイソガニ類が無数に見られます。陸側ではアカテガニとベンケイガニがちらほら。まだ卵を持っている雌がいました。近いうちにこれらも月光に導かれて海へ赤ちゃんを放つのでしょう。

さて、ここまでは想像通りです。
転石地帯に差し掛かると、石の裏にいる種がほとんどイソガニになりました。どノーマルのイソガニです。外洋に面したタイドプールのイメージが強い本種は、実は干潟にも結構いるんです。

さらに、イソガニがいる場所より1mほど陸側を探すと、江の島ではレア種として名高い?アカイソガニとヒメアカイソガニにご対面。江の島での生息地点は外洋に面した場所に見られるものの、陸側からは淡水の染み出しが認められており、塩分がかなり低かったのが印象に残っていました。河口干潟も塩分が低いという点で同じなので、いるかもなあと思いつつ探してやっぱりいたか、という感じです。

水族館へ展示用に持ち帰ったヤマトオサガニを詳しく見ていたら、ちょっと違うかも?という種も混ざっていました。これから精査するところです。



なんだかとりとめもない内容になってしまいましたが、ようは、干潟は生物の宝庫! 常に新発見の可能性があり、炎天下でもウキウキ歩き回ってしまう場所である、ということでした。持ち帰ったカニやヤドカリはすでに展示に追加しています。賑やかになった干潟水槽をぜひご覧ください。

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