あの右カーブが好きになれない。
うっ蒼とした、防砂林を抜けると、天空へと続く一本道のように、坂を登る。やがて、その道はゆるやかに左に曲がり、突然視界は開け、大海原を左手に見渡しながら、海に迫り出すようにして、その後大きく右に旋回する。眺めの良いコースとして、多くのドライバーには人気が高いポイントであるとのこと。が、しかし、風や波の強い時には、しばしば通行止めになるという。
絶景であることには変わりはないが、どうしても私は好きになれない。
春と呼ぶには、季節が少し早かった今年の 2月。小田原でマッコウクジラが漂着したとの一報を受けて、飼育職員の運転する車の助手席に座った、私はその景色を見ると、一人悶絶し、気分が悪くなったのをきのうのことのように鮮明に覚えている。
海の動物たちがストランディングした地点を自らの足で回る、巡礼と名付けた、私にとっては重要な年中行事に今年も参加した。
3月には、スタート地点でミンククジラが漂着。
6月、31km地点で腐敗したアカウミガメの確認に出向いた。
ただただ、歩いた。やっぱり、ここが苦手だ。そこが 35km地点だから、というのがもっともらしい理由かもしれないし、歩くための理由を探していなのかもしれない。
第 11回湘南国際マラソン、私は今年も湘南の風になれなかった。