先週木曜日の未明に、小田原の定置網漁に乗船させていただきました。
寒い時期に乗せていただくことが多かったので、真夏は初めての乗船でした。
生暖かい空気を切り裂いて、船は夜の海を進みます。
波や風はほとんど無く、潮の流れもあまり早くなかったので、スムーズに網が揚げられていきます。
何が入っているのかわくわくしながら網を手繰りました。
あと少し。
まず始めに、水面を猛スピードで泳ぐ青い魚群が見えてきました。
シイラやワカシ呼ばれるブリの幼魚です。
続いて暗い水中から銀色に輝く鱗が見えてきました。
イワシの群れです。
カタクチイワシ、ウルメイワシ、そしてマイワシ。
けたたましく鳴いていたカモメたちが、待ちかねていたようにイワシ目掛けて飛び込みます。
赤い魚影もポツリポツリと見えてきました。
ホウボウやキントキダイです。
ホウボウは冬のイメージが強い魚たちなので、今回たくさん水揚げされていたのはちょっと意外でした。
乗ってみないとわからなものです。
大きな座布団のような魚影はツバクロエイやアカエイ。
にょろにょろと泳ぐ魚影はアナゴやハモです。
サバの群れや小田原名物のマアジ、夏が旬のイサキや大きなマダイも。
この日はなかなかよい漁獲となりました。
水族館にはホウボウをたくさん持ち帰ることができました。
名前からしておもしろいのですが、赤い体で広げると団扇ように見える胸びれと、脚のように変化した胸びれの骨で、歩くように水底をはいまわるユニークな魚です。
相模湾大水槽の浅瀬、タイドプール(通称ジャブジャブ池)に展示しましたのでご覧ください。
この日は、傘の直径が 40cmもある大きなヒゼンクラゲが入っていました。
ヒゼンクラゲはザラザラした手触りの傘が特徴で、暖かい海域に見られるクラゲです。
相模湾ではあまりお目にかかることができない、夏ならではの珍客といえるでしょう。
サンプルとしてヒゼンクラゲを持ち帰ってきました。
クラゲのポリプが採れたらいいなと思ったのですが、これを一番喜んだのはアオウミガメたちだったようです。
ウミガメプールに入れると、みんなでおいしそうペロリと全部平らげてしまいました。
アオウミガメにとってはゼリーのような食感で、夏のお中元といったところになったようです。