オウムガイ。その先祖は 5億数千年前に生まれたといわれています。
オルドビス紀には今みたいに殻が渦を巻いておらず、サイの角のような円錐形をしていたとか。
そんな古代のロマンを今に伝えるオウムガイは現在では、フィリピンなどの深海にすんでいます。
日本では絶対に出会えないかと思いきや、1978年に九州の沖合いで生きたオウムガイが発見されたことがあり、たいへん稀ではありますが、日本の沿岸ではその殻がビーチコーマーに拾われることがあります。
海が荒れた後は、“えのすい”の目の前の浜にもさまざまなものが打ちあがります。
薄紫色の陶器のようなワスレガイ、完璧な曲線美のタカラガイ、海の色を映したシーグラスなど。
台風が過ぎると、私はきょうこそオウムガイの殻に出会えるのではないか、と期待に胸を膨らませて浜を歩きます。
古くからその美しい殻がランプの傘やボタンなどに使用されてきたオウムガイ。
えのすいではひっそりと深海Ⅱで暮らしています。
小さな窓をのぞきこみ、オウムガイを見つめていると無窮の時の流れを感じることができるのです。