2017年11月17日
トリーター:足立

ゆっくり動く(今週のおすすめ)

オオイカリナマコオオイカリナマコ

蛇の目、虎斑、偽黒、大錨、禿、真・・・。
脳もない、心臓もない、目もない動物。
いったいなんでしょう?

答えはナマコ。
漢字では「海鼠」と書いてナマコと読みます。
古くは、古事記にも登場していますが、

・・・問言汝者天神御子仕奉耶之時。諸魚皆仕奉白之中。海鼠不白。爾天宇受売命。謂海鼠云。此口乎。不答之口而。以紐小刀。拆其口。故於今海鼠口拆也。・・・

海の生き物たちが、神に仕えるかと問われ、魚など多くの生き物たちは「仕えます」と答えたのに、ナマコは黙っていたので、罰として口を切られてしまった、というような内容です。ちょっと可哀そうな役です。

英語では何というかというと、Sea cucumber海のキュウリ、時にはSea sausage海のソーセージだそうです。お! 中国語では「海参」海のニンジンだそうです。

ジャノメナマコ、ニセクロナマコ、オオイカリナマコは太平洋コーナーの暖かい海の水槽に、トラフナマコは、テーマ水槽に、ハゲナマコの仲間は、深海Ⅰの水槽に、そして、マナマコはタッチプールにいて、触れます。そのほかにも、魚名板はなくとも、ナマコがひっそりと暮らしている水槽がいくつかあります。


トラフナマコ


ハゲナマコの仲間


マナマコ

普段あまり注目されることがないかもしれませんが、興味深い生き物なので、きょうは彼らを推します! 推しポイントは、‘ゆっくり動く’というところ。彼らのペースに合わせてみると、あれ?自分はどうしてこんなに速く動いているんだろう?と、ちょっと考える機会になるかもしれません。

 これを書くにあたり、「ナマコガイドブック」を参考にしました。そこに書かれていた文章をご紹介します。私も日々、こんな気持ちで働いています。

「本書を手とられる方は、かわいくもなく、好きになりたくもない、われわれとはまったく違った世界や価値観をもつナマコを、それなりに理解し、ともに生きていこうとされる方々であろう。みなさまがおられれば地球の未来は明るい。ナマコとつき合う知恵が、さまざまな顔つき、さまざまな価値観、さまざまな宗教・信条をもつ人たちと、ともに生きていく知恵へとつながっていくのだと私は信じているからである。」

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