2018年05月31日
トリーター:今井

ノコギリザメ お前ってやつは!

ノコギリザメノコギリザメ

深海Ⅰの並びで最後の水槽には、ノコギリザメが展示されています。
2014年 2月 26日に当館に搬入された個体で、飼育されて約 4年 3か月になります。
全長は 130cm以上になり、順調に成長しているようですが、たまに餌を食べない日が数週間続くときがあります。その場合は口を開いて胃に餌を押し込んで、強制的に食べてもらいます。
サメにとっては驚くような出来事なので、頭を振って嫌がるのですが、本日はその時のお話です。
ノコギリザメというと、ノコギリ状の平たくて長い吻を持ち、これを左右に振って餌を獲るのですが、何とも滑稽な姿からその摂餌シーンを想像しづらいと思います。
私も昔は某フレークのオマケにあったハンマーやペンチを体の一部にした鳥のおもちゃ(懐かしい!)程度にしか考えていませんでした。
しかし、獲物の魚をその吻で一瞬に真っ二つにしたのを見てからは、その間合いに入るのは恐ろしく感じるようになりました。

さて、強制給餌を終えて水槽に放されたノコギリザメは、その凶器となる吻をビンッ!ビンッ!と振って、しばらく水槽内を激しく泳ぎ回ります。
私は混泳中の他の魚が怪我をしないかと冷や冷やしながら見守るのですが、その度に無事に落ち着いてくれています。それは、このノコギリザメが他の魚に当らないようにして、吻を振っていたからなのです。

無駄に他の生き物を傷つけないためか、商売道具のノコギリを大事にしているためかは分かりませんが、私にはとても優しい魚に思えてなりません。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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