2018年09月16日
トリーター:山本

ぽるぴた・ぽるぴた

みなさんは「ギンカクラゲ」というクラゲを知っていますか?
題名のポルピタ・ポルピタ(Porpita porpita)とは、この「ギンカクラゲ」の学名(世界共通の名前)です。
かわいい名前で語呂もいいので、ぜひ覚えてみてください!

カツオノエボシやカツオノカンムリなどと同様に、風に吹かれて水面を漂いながら生活している生き物です(これらの水面で生活する生き物のことを「ニューストン」といいます)。
白い円盤から青い触手のようなものが出ている不思議な形をしています。
ここ最近、“えのすい”の辺りでは強い南風が吹き続き、カツオノエボシやアオミノウミウシなどの漂流生物が沢山流れ着きました。
そして、このギンカクラゲもたくさん流れ着いてきたんです!


こんな感じで、“えのすい”の目の前にもたくさん打ちあがっており、綺麗な状態だったので、9月 12日からクラゲサイエンスで展示を始めました!
そこで、今回はこのギンカクラゲについて少し詳しくご紹介していきます!

ギンカクラゲ

和名: ギンカクラゲ
学名: Porpita porpita
英名: Blue Button(青いボタン)
分類: ヒドロ虫綱 花クラゲ目 ギンカクラゲ科

その名の通り、海に浮いた「銀貨」に見えることからこの和名が付けられました。
ベニクラゲなどと同じ花クラゲ目に属しています。
そして、実はこの写真のような状態は、いわゆる「クラゲ」の状態ではなく、それぞれ専門の役割を持った「個虫の群体≒ポリプの集合体」なのです。
そのため、「餌を捕まえる」役割である「感触体」や「食べて消化する」役割をする「栄養個虫」等に分かれています。
カツオノエボシと似ていますね(詳しくはこちら [ 2018/07/01 カツオノエボシの魅力その2 【生活サイクル】 ])!
ギンカクラゲがカツオノエボシと違う所は「クラゲ」を出すという点にあります。
ギンカクラゲを飼育していると、円盤の下から 1㎜位の黄色いつぶつぶが落ちてきました。
もしかしたら、今展示している水槽の底にもたまっているかもしれません・・・。


拡大するとこんな感じです。


これら全てがクラゲになります。遊離してから 3日でこんな形に成長しました。


成長しても大きさは 2㎜弱ほど。ちゃんと触手も生えてきます。
ヒドロクラゲ特有の縁膜もありますね。
この写真のクラゲにはまだありませんが、触手は 2本です。
このクラゲの形から、ギンカクラゲは「花クラゲ目」に分類されています。
カツオノエボシは「管クラゲ目」ですので、体の構造や生活の仕方が似ていても、分類上は結構違う生き物なんですね(例えるなら人とウサギくらいの違いです)!

ギンカクラゲの生活サイクルは既に明らかになっており、このクラゲが有性生殖をしてプラヌラ幼生が生まれ、それが個虫に変態し成長することで、私たちが良く見るギンカクラゲの状態になるということなんです!
また、ギンカクラゲにはたまーに色が違う個体がいます。


みなさん「キンカクラゲじゃん!」と心の中でツッコみを入れたのではないでしょうか・・・(笑)
綺麗ですよね。クラゲで個体ごとに色が違うというのはあまり聞いたことが無いので、とても面白いです。
黄色の群体から出てくるクラゲはどんな色をしているのでしょう・・・ 疑問がどんどん出てきます。次に見つけた時に確認してみますね!

現在“えのすい”では、この「ギンカクラゲのクラゲ」を展示しています(しかも大量に)。
すっごく小さいですが、小さい水槽があるからこそできる、“えのすい”ならではの展示です!
いつまで展示が続けられるか分かりませんが、普段見ることのできないレアクラゲを、ぜひ ぜひ見に来てください!

クラゲサイエンス

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