2018年09月20日
トリーター:石川

ひと夏の経験・・・ペンギン~カワウソ~カピバラ

今年は何かと忙しい日々が続き、気が付けば初秋を迎えるころになっています。

今までペンギンを担当していましたが、3月 3日からコツメカワウソも担当し、7月 14日からはカピバラも担当するという久しく複数種の飼育管理をおこなうことはしていなかったので、忙しいですが、まったく違う生物を飼育するというすてきな時間を過ごすことができました。

入社当時にはゴマフアザラシ、オタリア、トドの担当に合わせてカリフォルニアアシカ、オットセイ、フンボルトペンギン、ケープペンギン、イワトビペンギン、コツメカワウソ、ラッコまでの飼育管理に従事しており、複数種に関わることはさほど珍しいことではありませんでした。
ここまで経験して思うのは担当として従事するのであれば 1種もしくは 2、3種をじっくり飼育する方が、生物的な面も飼育者側の面もよいようには思います。
今回鳥の仲間、イタチの仲間、齧歯目の仲間とまったく違う形態、生態を持つ生物に接することができたのはとても勉強になりました。
また、これに伴って新たなトリーターと仕事ができることも大きな勉強になりました。

ペンギンは今までいちばん長く携わっているのですが、当館で托卵以外での自然繁殖が見られなくなってから、もう 7年が過ぎ、現在携わっているトリーターも親が育てる自然育雛を見たことがありません。今育っている雛も托卵による育雛です。まだまだペンギンも人も勉強しないといけません。


カワウソは 4頭いますが性格は 4匹 4色、トリーターも 5人 5色、ある時はカワウソと一緒に取組み、ある時はカワウソの攻撃をかわしながら徐々にえのすいカワウソワールドを作り上げています。
以前飼育していたカワウソのときは感じなかったのですが、とにかくパワフルです。大型犬用の噛みついてよいおもちゃもカワウソに渡すと噛み砕かれてしまうのです。カワウソってこんなに顎強かったかな?とちょっとびっくりしています。

そしてすでに 8月いっぱいで任を解かれてしまいましたが、カピバラ! これまで生きた魚などを捕まえる捕食者を飼育してきましたが、彼らは完全な草食獣です。どうしても世界最大のネズミの仲間とうたってしまうのですが、ネズミは雑食です、肉も食べるんです。でもカピバラは完全な草食です。南アメリカに生息する齧歯目の仲間ではそういった種類が多く生息しているそうです。ネズミの仲間というよりはモルモットの仲間という方が私的にはしっくりきます。
カピバラの所に居ると良く聞こえるのが、「どこを見ているのかわからない」といわれる方が多いことです。草食獣ですから、片目で 180°くらいのエリアを網羅しているようなのでほぼ 360°を警戒しつつ、気になるところもしっかり見ているという感じなのです。


思春期的なお年頃の 2頭、雄の「ココロ」は「ヒナタ」をよく追いかけたくなってしまいます。好きだけどじょうずに好きっていえない中学生みたい・・・追いかけすぎると、「ヒナタ」が警戒しすぎてしまいます。
この時はトリーターがちょっとココロに「コラッ!」という視線を向けます。すると「ココロ」は「ヤベっ怒られる・・・」とトリーターの動向をじーっと見て、もう怒っていないかどうかようすを伺っています。
もちろん 360°を警戒しつつです。すぐに追いかけるのを止めるときもありますが、時々しつこくアプローチし続けるときもあります。そんな時何度か「ココロ」を注意すると「ココロ」も分かっているようで、20m位離れていても、こちらの動きを察知して衝動を押さえたりすることもあります。別に狙っているわけではないのですが、草食獣の気の配り方には感銘しました。
また、のんびりしたように見えますが、本気を出せば柵も飛び越えられるほど跳躍力もあるそうです!
今回オープンから 8月いっぱいまで 25年以上前に一緒に鯨類を担当していたトリーターとカピバラを担当したのですが、トリーターの中でもさまざまな生物に見聞が深く、今回もいろいろと教えてもらうことができました。

新たな仲間たち、そして今までいる仲間たちこれからの“えのすい”を築いていく仲間たちをぜひよろしくお願いします。

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