2018年10月11日
トリーター:伊藤

マイナーな旅人

みなさまこんにちは。
秋も深まるこの季節、関東沿岸の海では黒潮によって運ばれた「季節来遊魚」たちが目につきやすくなります。「死滅回遊魚」の方が通りがよいかもですが、言葉の良し悪しは置いといて、これらの魚種の中には必ずしも死滅せず、越冬に成功する個体がいますから、案外「季節来遊」の方が意味の上からも相応に思えます。
つい先日、樋口トリーターを筆頭とするマメチョウ採集部隊が、かわいらしいサイズのチョウチョウウオ類を連れてきましたので、12日よりさっそく展示スタートです。ぜひご覧ください。

それはさておき、私からは関連の話題ということで、同じく季節来遊をしていると思われるものの、スポットが当たらない面々を紹介してみます。

オニカマス
季節来遊魚の中には、海と川とを行き来できる種もいて、黒潮で運ばれた先で川の中に入り、ちゃっかりと川魚づらしているものがいます。いわば季節来遊「淡水魚」とでも呼べるでしょうか。
相模湾キッズ水槽で展示しているオニカマスは江の島で採集されたものですが、特に幼魚はよく川に遡ります。
竹嶋館長いわく、相模川のかなり上の方、寒川町あたりで確認されたことがあるそうです。
成魚は大変勇ましい風貌で、バラムツと並びたいへん私好みの魚です。


オニカマス

スジモヨウフグとサザナミフグ
フグを漢字で河豚(かわぶた)と書きます。関東沿岸の川で見られるフグはほとんどがクサフグですが、暖かい地方では多くのフグが川で見られます。
スジモヨウフグは相模湾キッズ水槽、サザナミフグは環境水槽にいます。
相模湾ではなかなかレアです。どちらも昨年採集されたものですが、まだかわいらしさを残しています。


スジモヨウフグ


サザナミフグ

クロホシマンジュウダイとゴマフエダイ
南の海の汽水魚の代表的な 2種です。現在、相模湾大水槽まわりで成魚を展示しているほか、バックヤードに今年生まれのこれらの幼魚がいます。
若い職員がちょこちょこと引地川で採集してきたもので、とっても小さくて儚い感じですが、うまく育ったら展示にお目見えするかもしれません。


クロホシマンジュウダイ


ゴマフエダイ

他にも、季節来遊「ガニ」とか季節来遊「エビ」なんてものも、最近注目されています。キッズ水槽で展示しているツブイボショウジンガニや、以前展示していたトゲアシヒライソガニモドキなどが当てはまるでしょうか。
他にもよく調べれば、あっと驚く遠方からの珍客が、人知れず目の前の水辺にやってきているかも知れません。
季節来遊「ムシ」とか季節来遊「ガエル」とか・・・。

相模湾ゾーン

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