いつものように、水族館が開館する前に担当水槽の掃除をします。「今上陛下のご研究」には、小さな水槽がならんでいますが、お客さまが目の前で覗き込めるため、水槽の汚れには特に注意を払います。その中の一つに「ゴンズイ」という海棲ナマズの水槽がありますが、例外なく汚れるので定期的に手を入れて掃除をします・・・
そう。あのゴンズイ水槽に素手で・・
ご存知の方も多いと思いますが、ゴンズイは毒針を持っています。
背ビレと胸びれの第一棘条、つまりヒレのいちばん前の硬い骨が毒針です。
もちろん私は刺されたことはありません。(スタッフで刺された人は何人かいます・・)
ガラス面を掃除する手がゴンズイに当たらないように~~と慎重に手を動かしていると、
ゴンズイの方から近寄って来るではありませんか!
「ちょ、ちょっと!!」
ゴンズイの柔らかい口ひげが手にあたり“こしょこしょ”とくすぐったいやら危ないやら・・・
手を急に動かすとヒレに当ってしまいそうなので、ゴンズイが離れるまで手を動かさずに待ちます。
ゴンズイは「クリーナーフィッシュ」でもあり、大きな魚の寄生虫や体の汚れを掃除する習性があるため、人の手でも、お構いなしに寄って来ます。ただし毒針を持って・・
くりくりとしたつぶらな瞳と人なつこい行動には、全く攻撃性は感じられませんが、油断は禁物です。
ちなみに、ゴンズイの毒は「タンパク毒」なので熱に弱く、万が一刺された場合は、火傷しない程度のお湯に浸けると痛みが和らぐそうですよ。