みなさまこんにちは。
新着生物情報にあるとおり、このたび、東海大学海洋科学博物館さまのご厚意で大型に育ったロウニンアジを数個体、搬入しました。
[ 釣り師の憧れGT 「ロウニンアジ」展示開始 ]
実は入り口の「出会いの海」に少し前から幼魚がいたり、過去に一度、江の島定置網から成魚が入ったことがあるのですが、今回は状態も良いですし、大きく育ててみたいところです。
私にとって思い出深い存在でもあります。
大学時代に、主に釣り目的で繰り返し小笠原諸島に遠征していました。
[ 2009/08/15 思い出のネムリブカ登場 ]
同行の友人らは何万円もする頑丈な釣竿と、大きなリールにPEラインという丈夫な糸を装備し、10㎝以上あるルアーを携えていました。彼らの第一目標の一つが、本種だったわけです。
本種は巨大で引きが強く、一部の巨大魚釣りファンからは英名からGT(ジーティー)の名で呼ばれます。普通は専門の釣船から狙うのですが、彼らは陸っぱりから釣る!という制約を自らに課し、兄島瀬戸に突き出した岩の上から、夜な夜なルアーを投げていました。
私はといえば、彼らほど釣りへの情熱が強くないので、一晩釣ったら(私が釣るのは全長 30㎝強のハタやミナミイスズミ止まり)、がっつり寝て、内陸や川をほっついて本土では見られない生き物を探していましたね。
当時はご禁制になっていなかった外来種のグリーンアノールやオオヒキガエルを採集して飼ったこともあります。20年近く前でも、これら 2種の数はすさまじく、父島中央部~南部では草むらや荒れ地を一歩歩けば、両種が数個体飛びのく、みたいな感じになっていました。
数ある外来種の各種が「どのくらいヤバいのか」を比較するのは容易ではないですが(陸と水中でも違うでしょうし)、学生の素人目からしても、これらへの対策は優先的かつ集中的におこなわないと不味そうだなと感じましたし、今も思います。
お話がそれましたが、結局、私が同行した 5回( 1回 2週間滞在)で、ギンガメアジとカスミアジが釣れていたものの、ロウニンアジは釣れなかったと記憶しています。後日、陸っぱりはあきらめ、船釣りにてゲットしたと聞いています。
というわけで、淡々と思い出しながら書いてみましたが、私の学生時代の数年間は、ずっと本種の名が脳裏にあったわけで、思い出補正もかかりつつ、いつかは展示してみたい種となっていたのでした。
自然を模した当館の水槽内での本種の挙動は、釣りファンには別の興味深さを感じさせるかもしれません。「出会いの海」での幼魚の挙動(荒波、サラシの使い方)、深さのある大水槽での用心深い動き(深い場所をゆっくりと泳いだり、定位する)は、他のアジ類とはやはり違うように思えます。ぜひご覧ください。