2018年12月23日
トリーター:櫻井

サメに乗る

深海Ⅰのおよそ向かいの水槽に、ノコギリザメがいます。
このノコギリザメは、だいたい底の方でじっとしているのですが、その背中にちょこんとユメカサゴが乗っていることがあります。
ノコギリザメは、ユメカサゴが背中に乗っていてもしらんぷり。
気にならないのでしょうか。

魚たちの中には、体が何かに触れていることで安心するという習性のものが結構います。
ウツボも普段は岩のすき間に体を隠していますし、砂の中に潜っている種類もいます。
タッチプールのネコザメは、いつも密集しています。
これは、仲間同士身を寄せ合っているというよりは、お互いを岩だと思って身を隠しているように見えます。

ではノコギリザメはどうでしょう。
ユメカサゴに乗られて安心している・・・ とは思えないです。
底生生活を送るノコギリザメにとっては、ちょっとのことでは微動だにしないということが、外敵から身を守る手段の一つなのかも知れませんね。
単に気付いていないだけかも知れません。
ユメカサゴとしても、サメに乗っているというつもりなど無く、ちょっと小高い良い岩があったぞ、という認識かも知れません。
生物たちを見ていて擬人化してしまうのは危険な思考の入り口ですが、きっかけとしていろんなことに思いを巡らせてみるのも良いかも知れません。

生物たちの動きを見て、自由な発想で面白い発見をして、その知識をお家に持ち帰り、その後の人生に活かすのが、水族館を最大限楽しむ方法かなと思っています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

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