子どもたちが生まれてもうすぐ 3か月。
親の警戒心もだいぶ和らぎ、日中巣箱から出ている時間がかなり増えてきました。カワウソエリアに来た際はカワウソたちが遊んでいないか覗いてみてください。
私たちも、子どもたちが外の世界に慣れるよう、出ている時間は全力で遊んでいます! 気分はまるで某恐竜映画のコンプソグナトゥスに襲われる女の子とハンター。歯が鋭くなってきたため常にひやひやしています。お客さまのお写真の邪魔になっていることも多々あるかと思いますが今後のためにどうかお許しください(^^;)
さて、今回はちびちゃんずの驚異的な成長過程をご報告しようかと思います。
巣箱から出てくるようになった生後 49日目の 2月 9日に初めての自力排泄を確認! それまでは親がお尻を舐めて刺激をし、うんちとおしっこを舐め取っていました。
2月 9日にはこんなに弱々しい排泄ポーズでしたが↑、今ではこんなにしっかりと排泄ポーズを取れるようになりましたよ!↓
生後 53日目の 2月 12日には「1」(通称イッチー)と呼んでいるオスが初めてアジを食べました。
実はこの「1」、2月 1日から 2月 4日の 4日間で恐らくお乳争奪戦に負けてしまい一気に体重が落ちてしまったのです。この期間、非常に元気ではあったのですが、みるみる痩せていったため 2日間だけ日中に取り上げミルクをあげることになりました。
人工哺乳後一気に体重があがり、これで一安心、と思った矢先にアジを突然食べ始めたのです! アジをミルクに浸けていたので、知っている匂いと思い興味がわいたのでしょうか?
残る2頭はいつになるかな・・・ とそわそわしていると、2月22日にはアジより先にミサキのおやつ用に置いてあるキャットフードをちびちゃんず全員でぼりぼり食べ始めるといる初めてのワイルドさも確認されました。
そしてその 2日後、生後 66日目の 2月 24日に「2」が初めてアジを食べました。食べはじめが突然すぎて、あれ、この子イッチーだったっけ!?と私たちもプチパニックになったほどです笑
そしていつまでもアジに興味を示さなかった「3」(通称サンちゃん)。「ヨモギ」が給餌時間に連れ出しても走って巣箱に戻ることが多く、私たちもアジをミルクに浸けてみたり、キャットフードをまぶしてみたりと工夫しながらも頭を悩ませていたのですが、生後 71日目の 3月 1日に、これまた唐突に食べ始めました!
そしてそして! 「3」に関してはアジを初めて食べたこの日に初泳ぎも見られたのです! 正確には、初泳ぎ後に初アジだったので「サンちゃんアジも食べてないのに先に泳ぎ始めちゃったよ!!」と皆で笑ってしまいました。
翌 3月 2日には「2」も泳ぎ始め・・・ 残るは「1」だけですが時間の問題でしょう。ちなみに、「2」の初泳ぎに遭遇した「1」は試しに水に入りましたが一瞬で水からあがってしまいました笑
おちびたちはよちよち歩く期間がもっと長いのかと思っていたのですが、走り始めるのも早く、いつのまにか体重をはかっていたバケツからも逃走できるようになり、登れなかった段差も登れるようになり、いっちょ前に親に文句もいえるようになり・・・
どんどんちびちゃんずの初めてが更新されていきます。次にくる初めてのビックイベントは初プールでしょうか。「1」が泳げるようになったら今は空になっている水場に水をはる予定です。お楽しみに!
さて、ここからは少しだけ真面目なおはなしをさせてください。
カワウソの子どもたち、とてもかわいいですよね。私も成長の早さに驚きながら毎日癒されております。ただ、ちびちゃんずを見るたびに頭によぎるのは現在問題になっているカワウソの密輸に関してです。
つい最近、産経新聞のニュースには以下のような記事が出ていました。
国際的な野生生物取引監視団体「トラフィック」がまとめたカワウソの密輸に関する報告書によると、27年~ 29年に東南アジアで保護された 59匹のうち、日本向けが 32匹で最多。とくに 28年から 29年にかけて押収量が急増しており、密輸されたカワウソはネット上で販売され、80~ 162万円の高値がつけられていた。
(2019.2.16 THE SANKEI NEWSより)
なぜこんなことが起きているのでしょうか。それは日本でカワウソブームが起きたためです。日本がカワウソ市場のターゲットにされてしまったのですね。
そして、密輸されるカワウソたちは現在“えのすい”にいるちびちゃんずと同じくらいか、もう少し幼いカワウソたちです。
これくらいの子たちがスーツケースなどに詰め込まれ、ほとんどの子が日本にたどり着くまでに酸欠などで亡くなっています。
また、これは勝手な推測でしかないのですが、子を捕まえるとき、果たして親は無事なのでしょうか。今回カワウソの出産に携わり、親たちの警戒心の強さをとても感じました。飼育下で普段世話をしている私たちに対してもこんなに警戒しているのに、自然下で小さな子どもを奪うとなると親たちはどうしているのでしょうか。最悪、子を守ろうとしたがために殺されているかもしれませんね。だめだとわかると子を置いて逃げる動物種もいますので、必ずしも親に危害が加えられているとは限りませんが、可能性としては考えられます。
もしかしたら今もどこかで、こんなにかわいい子たちを無理矢理捕まえ日本に送り込もうとしている人がいるかもしれません。
この話題は非常に重く辛いことではありますが、せっかくカワウソに興味を持ってくださるのであれば、ぜひ、こういった悲しい側面にも目を向けていただけたらレッドリストで危急種(野生での絶滅の危険性が高い)に指定されているこの「コツメカワウソ」たちの未来も少しでも変わるのではないかと思います。
少し重い話になってしまいましたが、どうか覚えておいてください。また、お父さま、お母さま方はお子さんたちにも「一緒に守っていこうね」と教えてあげてくださいね。
というわけで、カワウソで癒されたい方はぜひ“えのすい”に遊びに来て癒されて帰ってください! お待ちしております!