2020年02月27日
トリーター:八巻

心にとまる小さな気づき

みなさんこんにちは、八巻です。生き物の状態は日々変化するもので、その変化を見逃さないことは大切です。そんな変化は、“なんとなく感じる違和感”から気がつくことが多いのです。きょうの日誌では、ふと不思議に思ったことやうれしかったこと、興味深かったことなど、きょう“心にとまった小さな気づき”をご紹介したいと思います。

まずいつも見ている大水槽ですが、最近なんとなく違和感がありました(写真1)。


写真1

そう、いつもは表層にいるマイワシの群れが、中層や底層にいることが多いのです。ギュッとかたまっているので、密度も高く見えます。
イワシの群れは緊張している時にかたまりますが、最近新しい大きな魚を入れたということはありません。大水槽担当のトリーターに聞いてみたところ、イワシの数が変化すると群れの泳ぐ水深が変わることもあるそうです。ただ、最近特に数が大きく変化したわけではないらしく、首をかしげていました。不思議ですよね。でもきっと理由があると思いますので、ようすを見ていきたいと思います。

次に、タカアシガニ水槽にいるオーストラリアオオガニですが、これまでずっと水槽右の前端でじっとしていました。大丈夫かなと心配していましたが、ここ数日、急に動くようになったのです(写真2)。


写真2

これも理由はよくわからず不思議ですが、先日フトツノザメを搬入しましたので、タカアシガニも立っていることが多いと感じていました。底を泳ぐサメが増えたことで、底にいるカニたちにも影響を与えたのかもしれません。

今度はうれしかったことです。先日底引き網漁で採集したオキナエビが、餌を食べていたのです(写真3)!


写真3

以前、健康のバロメーターとして眼の観察が大切だという日誌を書いたことがありましたが、餌を食べるということは、最も分かりやすい健康のバロメーターです。特に搬入したばかりの生き物はしばらく餌を食べませんので、食べている姿を確認したときは、とてもうれしく、またよかった!と胸をなでおろします。

そして興味深かったこと。私はこれまで、頭足類は警戒心が強く、特にイカは神経質な種ばかりと思っていました。掃除のときはもちろん、餌をあげる時でさえ、できるだけ刺激しないようにすることが定石です。
現在沿岸の水槽でシリヤケイカを展示していますが、私自身はシリヤケイカを直接飼うのは初めてで、餌もよく食べ、飼いやすいイカだなぁと感じていました。

今朝、掃除のため、水槽に網を入れていました。イカを刺激しないよう、できるだけゆっくりと網を入れていると、シリヤケイカが網にアタックしてきたのです(写真4)!


写真4

もう一度、もう少し勢いよく入れてみても、同じ反応をします。さすがに自ら網にアタックしてくるイカは初めて見ました。とはいえ、同じシリヤケイカでも網を怖がって逃げていく個体もいます。種間のみならず個体間でもこんなに性格が違うのは本当に面白いなぁと感心しました。

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