2020年08月29日
トリーター:櫻井

カワイトヒキクラゲの成長日誌 最終話

少し間が空いてしまいましたが、カワイトヒキクラゲのその後です。
とんでもないことになっております。
とんでもないことになっております。
まずはこちらをご覧ください。


あれから、どんどんとポリプがストロビレーションを起こし、エフィラが爆発的に遊離し始めました。まるで生命の大爆発、カンブリア爆発のようです。
小型のクレイセル水槽に 4,000匹以上のエフィラが収容され、それが 4水槽です。
世話が追いつかない! うれしい悲鳴です。
換水作業をしていると、隣で作業をしていたバイトさんが「雪のようですね」と言ってくれました。
そうなんです。何かに似ていると思ったらこの光景、深海に降り注ぐマリンスノーのようです。そんなロマンチックな気持ちになりながら一匹一匹ピペットですくうという途方もない作業を無になりながら行い、新しい水に入れ換えます。これが恐怖の換水作業です。


このエフィラたちは順調に成長を続け、既に展示に出せる大きさにまでなっている個体もいます。形の良い、成熟した成体になるのはほんの数パーセントですが、それでも 100匹以上は確実ですね。お楽しみに!
こちらは第二話に登場していた、現在展示中の成熟個体です。こんなに立派になりました!


さて、カワイトヒキクラゲのカンブリア爆発から少し落ち着き、平和な日々が戻りつつありましたが、なんと今度はアカホシイトヒキクラゲのストロビレーションが始まりました。ぽつぽつとエフィラが遊離し始め、現在 7匹のアカホシイトヒキクラゲのエフィラがいます。
アカホシイトヒキクラゲAcromitus haedenbergiは、カワイトヒキクラゲAcromitus flagellatusと同属のAcromitus系です。前例があるだけに、アカホシイトヒキクラゲのカンブリア爆発が今後起こるかも知れません。今は遊離してくるも、ぽつぽつとかわいいものですが・・・。恐ろしくも、これまたうれしい悲鳴ですね。
アカホシイトヒキクラゲのエフィラは、元気にグーパーを繰り返すように、拍動しています。



カワイトヒキクラゲの展示状況と、アカホシイトヒキクラゲの爆発具合を、またご報告しますね。アカホシイトヒキクラゲはもう少しだけ休んでいてほしい・・・(本音)。

[ 2020/05/25 見られることなく成長したカワイトヒキクラゲ ]
[ 2020/06/25 カワイトヒキクラゲの成長日誌 第二話 ]

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