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えのすいトリーター日誌

2020.09.01 トリーター:八巻

2020/09/01 幻のコトクラゲがいた! 新江ノ島水族館×FullDepth深海探査共同プロジェクト


こんにちは、八巻です。あっという間に1ヵ月近く経ってしまいましたが、先月7月30日に新江ノ島水族館×FullDepth深海探査共同プロジェクト第3回目の調査を行いました。
本調査で採集・展示され、相模湾での発見は実に79年ぶりとなったコトクラゲ。今回はその調査の舞台裏を少しご紹介しましょう。

もともとは相模湾初島沖に生息するシロウリガイを見に行く!という目標から始まった本プロジェクト。1回目は天候不良、2回目は器材不調に阻まれ、未だ当初の目標達成はいたってはおりません。やはり海洋調査はなかなか予定通りには運ばない難しさがあります。

しかし一方で、1回目、2回目ともに、予備海域として設定していた江の島沖の海底を調査することができました。相模湾の生き物を展示する“えのすい”として、目と鼻の先にある江の島沖の海底を我々トリーターがその目で見て、展示に還元するというのはとても大切なことだと思っています。

私はこれまで、幸運にもさまざまな深海底を見る機会に恵まれてきましたので、江の島沖にもこれまで見慣れた生き物しかいないだろうと予想してました。しかし実際に調査をしてみると、見慣れた生き物に加え、特に水深100-300メートルとどん深に落ちこんでいる急斜面の海底で、思いのほか多くの見たことのない種の生き物を観察することができたのです。

そのような結果を受け、今年度はその江の島沖の深場の海底の生物相を明らかにするとともに、その多様性を多くの方に知ってもらうことを目的として、プロジェクトを実施することとしました。また、江の島沖の海底にすむ生き物の生体展示を実現するため、生物採集にも挑んでいく、という計画になったのです。

今回調査に用いた株式会社FullDepthの水中ドローンは、水深300メートル級のDiveUnit300という機種で、今回からそれにマニュピレーターと呼ばれるロボットアームを搭載し、海底で物をつかむことをできるようにしました。


マニュピレーターを搭載したDiveUnit300

手がついただけと聞くと、大したことがないように思えるかもしれません。しかし、任意の海底のようすをリアルタイムで観察できるということだけでも、もちろんとても貴重なことです。加えて、海底で何かをつかんで持ってくることができるというのは、観察のみという段階からサンプルを採集可能という段階へとシフトしており、調査という意味において1が2になるのではなく、1が10になるくらいとても大きな進歩なのです。

ということで、ナマの相模湾の海底のようすを多くの方に知って頂きたい、何かを持ち帰り、展示に還元したいという期待膨らむ意気込みと、本当にうまくいくだろうかという不安の入り混じる中、7月30日、3回目の調査に赴いたのです。

調査に参加したのは私と杉村トリーター、FullDepthの方々です。今回は上記の通り、江の島沖のどん深の海域を調査のターゲットとしましたので、出航後30分ほどで調査海域に到着しました。さぁ! いよいよ潜航開始です!


DveUnit300を海に入れる

水深は150メートルほど。潜航後すぐに着底することができました。着底点から少しずつ浅い方を目指して、進めていきます。


水中ドローンで海底を観察する私たち

今回使っている水中ドローンはケーブルが細く、ケーブルが海流に流されたりケーブルの重さで本体が引っ張られたりということがほとんどありません。船上でのケーブル繰りもとても簡単です。


ケーブル繰りをする杉村トリーター

今回の調査海域は、海図上では切り立った崖ですが、実際に海底を見てみると、階段のように切り立った崖と狭い平坦な領域が交互に現れます。
崖には多くの付着生物が確認でき、平坦な領域にはアカトラギス(写真左上)やアズマハナダイ(同 右上)、オーストンフクロウニ(同 左下)、オキナマコ(同 右上)など、おなじみの生き物を見かけました。


カメラを上に向けると、青い背景に崖のシルエットがはっきりと見え、相模湾の水深150メートルほどの海底にも光がしっかり届いていることに、今更ながら驚きました。


青い背景と崖のシルエット

しばらく進むとトリノアシを発見!


群生するトリノアシとテヅルモヅル

トリノアシはこれまで展示したこともありますが、実際の海底で群生しているようすを観察したのは初めてのことでした。知識としては、トリノアシは潮通しが良い場所で花のような腕を広げ、プランクトンやマリンスノーを捕らえて食べている、ということを知っていました。
しかし、実際にそのようすを見ると、想像以上に見事です。崖の際にきれいに立ち上がり、潮の流れてくる方向に腕を広げて、羽枝(腕からさらに広がる細かい枝状構造)もしっかりと開いています。よく見るとテヅルモヅルの仲間も一緒にいます。やはり崖の際の部分は潮通しが良く、このようなプランクトン食の生物の格好のすみかとなっているようです。

トリノアシはある程度の大きさがあり、動きも少ないため、まずはトリノアシの採集に挑戦! そして無事採集することができました!
今回は同様の潜航を今回は合計7潜航行いました。トリノアシをもう1個体採集した後の、6潜航目のこと。海底に到着し、崖を上り、平坦な領域を観察していました。大型のきれいなイソギンチャク類がいたので、観察のため着底してしばらく観察を行いました。観察が終了し、動こうとしたとき、イソギンチャク類の左奥に何やらホヤ類のような柔らかそうなものが見えます。


イソギンチャク類とその後ろに...

何だろう? 一応観察してみようということで、近づいてみました。
どうやらその生物を横から見ているようです。ヤギ類の骨軸に付着していて…ウサギの耳のように二股に分かれていて…私と杉村トリーターは同時にピンときて叫びました「コトクラゲだ!!」


コトクラゲ

コトクラゲは、1941年に昭和天皇と御研究室の職員の一行が相模湾江の島沖南方3 キロメートルの海底70メートルからドレッジで採集された個体をもとに、1942年に京都大学の駒井博士によって種として記載された、いわゆるクシクラゲの仲間に分類される動物です。

今でも採集例が少なく、2005年に記載時の採集から64年ぶりに鹿児島沖で再発見されました。その後駿河湾、沖縄恩納村沖などで何度か採集されていて、繁殖などその生態が明らかにされつつあります。しかし、相模湾での再発見は今回の79年ぶりを待つことになり、調査を行った相模湾の深場の岩礁域の面白さと、さらなる調査の必要性を改めて示す結果となったのです。

私たち自身はとにかく一所懸命で全く気付いていませんでしたが、FullDepthの方から話を聞くと、コトクラゲを見つけた直後から、我々トリーター二人の雰囲気が明らかに変わり、必死さが伝わってきたそうです(笑)
ともあれ、何より水中ドローンの操縦をして下さっていたFullDepthの方の素晴らしいオペレーション、また船を操船してくださっていた船長の見事な定位のおかげで、また私たち二人の必死の回収作業により、コトクラゲの採集にこぎつけることができました。
飼育例の少ない生物ですが、これからもできるだけ長く飼育し、その姿をより多くの方に見て頂くとともに、その生態解明に努めていきたいと思います。


水槽の中のコトクラゲ

なお、本調査は関連海域の漁業協同組合の方々、神奈川県、静岡県の関係者の方々のご理解の元、行うことができています。今後も調査を続け、相模湾の生物相の解明と普及に努めていきます。




本調査研究は、船の科学館「海の学びミュージアムサポート」の支援を受けて実施しています。

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-





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